第2.5章 出会いと再会は唐突に
第31話 マルグリッド迷宮へ行こう
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ここはヘルマン領、東部に位置する直径2kmにも及ぶ巨大な穴。
古代の遺跡とも呼ばれている。
その歴史は数百年にもわたり探索研究をされてもなお、その全体像は未だ判らず、最深部までの到達者がいたかも不明である。そして、その逸話から現在においても、冒険者の名所として数多くの冒険者を呼び寄せている場所でも有る。特殊なアイテム、修行、世界の秘密を求めてこの迷宮に挑むものは多い。
「……ま、血生臭い感じな場所だが、今は観光遺跡でもあるんだよな」
ユーリはその古代の遺跡、《マルグリッド迷宮》の前へと来ていた。依頼の内容はこうだ。
『迷宮観光へと来ていたら、落下トラップにかかってしまい迷宮の地下まで行ってしまった。命からがら脱出出来たが、思い出の品を落としてしまったらしい。どうか探してくれ!慌てて脱出したから、あの場所の階層がわからない。どうか頼む。追伸……思い出の品は音楽カセット。中身はどうか聞かないで……――DJ.youSK』
と言うものだった。
「この場所がどう言う場所かわかってたのかねぇ……」
ユーリは、依頼書を読み、ため息を1つしながら呟く。
この場所は数多くの冒険者が挑んできている。確かに、観光地のひとつになっているのは間違いないが、それは遺跡の入口付近までが主であり、この巨大な穴を見ていこうと言う者達がいるからそう言う風習になったのだ。……間違っても、準備無しで下へと降りるのは愚の骨頂と言うべきものだ。
「まぁ、いいか。仕事は仕事だ。久しぶりにこの場所に来たかったのは事実だ」
この場所は修練の場所としてユーリは極たまに利用する層なのだ。冒険で役に立つアイテムも良くあったりするが。
「レンジャーがいないからな。宝箱は気をつけてあけないと」
ユーリはそう呟いていた。
宝箱では苦い思い出が多くあるのだ
――……まぁ、簡単に言えば
開ければ『どーーん!』 こっちを開けたら『どーーーん!』 更に開けようとして『ちゅどーーーーんっ!!!』
「………」
ユーリは頭を只管掻いていた。これは、記憶の奥底に置いときたい思い出のひとつだから。
「あんの馬鹿のせいで無茶苦茶になったんだよな。確か……」
あまり思い出したくない規格外の馬鹿の顔が何故か頭の中に鮮明に浮かぶのだ。
『次は大丈夫ですよー』とか言いながらどんどん宝箱を開けていく彼女。何が一体大丈夫なのか、何発も爆発を受けておいてピンピンしているのも凄い。どうやら 魔法で防御出来ているから大丈夫みたいだが迷惑も考えてもらいたいものだ。
「さて、思い出したくも無い回想はこの辺にしといて……」
ユーリはマルグリッド迷宮≪下層へと続く道≫への扉を開けた。道、とはいっているが……
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