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第一章
桃の香り
明久はお母さんと一緒に買い物に行っていました。
お母さんはです。こう明久に言いました。
「ねえ明ちゃん」
「何、お母さん」
「今日はね」
こうです。明久の手をつなぎながら言うのです。
「晩御飯はカレーよ」
「えっ、カレーなの」
「そうよ。カレーよ」
にこりと笑って明久に言います。そしてです。
カレにです。こうも言いました。
「明ちゃんカレー大好きよね」
「うん、僕カレー大好きだよ」
明久もその通りだと。にこりと笑って答えます。
「カレーとても美味しいよね」
「そうでしょ。最近明ちゃんがとてもいい子だから」
だからだと。お母さんはお話します。
「それでカレーにするのよ」
「僕がいい子だから?」
「そう、だからよ」
それでだというのです。
「だからね」
「そうなんだ。僕がいい子だから」
「いい子にはね。神様がご褒美を与えてくれるの」
お母さんではなくです。神様がだというのです。
「だからね。今日はね」
「カレーなんだ」
「神様からのプレゼントよ」
こうも言うお母さんでした。
「だかわね」
「うん、わかったよお母さん」
明久はいい子だからカレーライスを食べることになったというのです。そうしたお話をしてです。
お母さんは明久をスーパーに連れて行きました。そうしてです。
スーパーで人参に玉葱、それとジャガイモにカレールーを買って。
それから明久に尋ねました。
「お肉がいい?何がいいの?」
「カレーに入れるお肉?」
「そう。何がいいかしら明ちゃんは」
こう自分の子供に尋ねます。
「何でもいいから言ってみて」
「じゃあ」
お母さんに言われてです。明久は答えました。
「シーフードカレー」
「お魚のカレーね」
「お魚だけじゃなくて」
さらにです。お母さんに言うのです。
「烏賊に貝に海老もね」
「全部明ちゃんの好きなものね」
「そう、大好きだから」
それで、なのでした。お母さんに御願いするのです。
「シーフードカレー御願い」
「わかったわ。じゃあお魚のところに行きましょう」
「うん」
明久も笑顔で頷いてです。そうしてなのでした。
お母さんと一緒にお魚のコーナーに向かいます。その途中で。
ふとです。とてもいい匂いに気付きました。
それでその匂いの方に行くとなのでした。
そこには桃がありました。大きくてとても美味しそうな桃がです。幾つも果物のコーナーにありました。
その桃達を見てです。明久は。
あまりものいい匂いと美味しさにです。喉をごくりと鳴らして。
そのうえで一つ手に取ろうとします。それで食べようと思いました。けれどここで。
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