34.喪った者の言い分
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ヘスティア・ファミリアを訪れます。その際、私とティズは冒険者としてダンジョンに入りたいと進言するでしょう」
「………一応、大雑把な事情はキミたちから聞いた。根源結晶というやつを見つけるために、冒険者にならなければいけないからだね?」
「ええ、その通りです。ですから女神ヘスティアはその時に――ティズのダンジョン入りを決して認ず、私にだけ許可を出してほしいのです」
「へっ!?」
「ちょ、ちょっとアニエス!?急に何を言ってるの!?」
ヘスティアもツインテールをピンと立てて驚いたが、一番驚いたのはエアリーだ。
昼間に「ヘスティアに決めてもらおう」などと言っておいて、何故いつの間にかティズを除け者にしようとしているのか。このタイミングに及んで約束を破るような真似をするなど、巫女であるアニエスがそんな卑怯な真似をすることが信じられなかった。
だが、アニエスもアニエスなりの思惑と言うものがある。
「言い方を変えます……ティズを戦いから遠ざけて下さい。エアリー、貴方がティズのことを深く信頼している理由は問いませんが、これだけは譲れないのです」
「どうして!?だってアニエス一人じゃ根源結晶を見つけるのにどれだけかかるか分からないし、ティズだってあんなにやる気で……!」
「やる気だから問題なのです」
「……僕には分からないんですけど、ティズさんが冒険者になるのがそんなにいけない事なんですか?」
蚊帳の外にいたベルにはそれが疑問だった。自分だって冒険者だが、ティズより年下でも冒険者を立派にやっているつもりだ。なのに自分より体格も勝るティズが何故駄目なのだろうか。
その理由は――ダンジョンに来た経緯にある。
「確かに私とティズならばティズの方が強いでしょう。とても意志が強いし、野良魔物を仕留めるほどには剣の腕もあるようです。何より迷子にならない」
「あ、うん。それは重要だけどさ。そんなに迷子になる人なんてアニエスくらいだと思……」
「だから、厭なのです」
(スルーされた……)
(こら、エアリー。アニエスは真剣なんだから茶々を入れるな。彼女の話を聞こうじゃないか)
(うう、変な髪の変な奴に注意された……)
リングアベルはこっそりエアリーに突っ込みを入れて、渋々ながら納得させた。
「私には、家族同然に育ってきた修道女たちがいました。嬉しい事も、悲しい事も、衣食住全てを分かち合って生きてきました。なのに………」
「魔物による神殿襲撃事件……かい?」
「………神殿内は魔物で入り乱れ、パニックになりました。でも、その時初めて、私は分かち合えなかった………何度止めてと叫んでも、何度もういいんだと叫んでも、修道女たちは決してそれを聞き入れずに次々私の盾となって死んでいきました………死だけは、分かち合う事は無かっ
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