34.喪った者の言い分
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オは多くの見えない危険が潜んでいるというのに、彼女は自分が方向音痴であることを自覚しながら一人で夕暮れの街を彷徨っていたのだ。
前回の失敗を予想してエアリーのアドバイスをもっとよく聞くようにしたものの、結局アニエスは大きな通りを外れて路地に入り込み、挙句エアリーも知らないルートを開拓して迷子になっていたらしい。ベルは「見つけてて本当によかった……!」と胸を撫で下ろし、ヘスティアは可愛らしく腰に手を当てながらもアニエスに説教している。
「………なのに君ときたら!ティズ君の隙を盗んで態々迷子になるなんて、彼の思いやりを何だと思っているんだい!人に心配をかけるのはよくないが、だからって自力でどうこうできることとできないことの区別くらいは付けなさい!!」
「か、返す言葉もありません……軽率だったのは認めます」
……ただ、ヘスティアに比べてアニエスの身長が高いせいで子供がぷりぷり怒っているだけに見えなくもないが。おまけにもう一人の説教師に至っては小人族より遙かに小さい精霊エアリーである。
「そーよそーよ、軽率よ!エアリー悲しいわ……アニエスとは友達だって信じてたのに!」
「友達……エアリーと……?」
「え」
「あ……いえ!その、嫌という訳ではありません!ただ、何というか、エアリーは精霊で私は巫女だから、友達だって思ってくれてるとは思いませんでした」
「え」
「だってエアリーはいつもティズを贔屓してますし……」
「う」
「それはエアリーからすれば私は数いる巫女の内の一人でしかありませんから、言うならば『選べる』立場ですけど……ちょっと蔑ろにされてるような気がして……」
「そ、そんなつもりは……」
アニエスに反撃している自覚は全くないが、アニエスからしてみればエアリーの行動はティズの側に偏っているように見える。そのことを完全には否定できないエアリーは見る見るうちに言葉が詰っていき、それを横目でみるヘスティアも「贔屓は駄目だよ」と言わんばかりにジトっとしている。
エアリー、攻防一転してピンチになる。
ちなみにリングアベルは現在、早速『ねこねこネットワーク』を利用してティズを捜索して「迷子のアニエスと巻き添えになったエアリーを保護した。今日はもう遅いので明日引き取りに来てほしい byリングアベル」というメッセージを届けさせている。
「お、届けてくれたか!よしよし……ご褒美にじゃが丸くんの中身をあげよう!衣は猫が食べるには少々脂っこすぎるからな」
「うみゃー!」
「にー!」
「お、こっちはティズからの返信の手紙か?ご苦労さん!お前にはこっちのカリカリフードをあげよう!」
「なんかリングアベルがボクの知らないうちに変なスキル身に着けてる!!」
「せ、先輩!まさかねこのメスまで口説いてしま
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