34.喪った者の言い分
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「ベルの奴、やけに遅いな……」
ミネットとの約束を済ませた俺はとっくにホームまでたどり着き、同じくバイト疲れでホームに舞い戻った女神ヘスティアと一緒にもう一人の家族の帰りを待っていた。
「今日はダンジョンにも行っていないし外食する予定もなかった筈だが……厄介事に巻き込まれているんじゃないだろうな?」
「まさかリングアベルの夜更かし癖が伝染って歓楽街へ!?どう責任を取る気だいリングアベル!?あんな肉食系女子だらけの場所にベル君が行ったら大切なものをたくさん失ってしまいじゃないか!!」
「いやいやいやいや!俺はそこには行かないしベルにも行くなときっちり忠告している!それに俺は女性を金で買うようなマネは決してしないぞ!」
この町の歓楽街はイシュタル・ファミリアの管理する夜の街。
夜遊びは夜遊びでも、娼婦との一晩を買ったりする遊廓の側面が非常に強い。
いうまでもなくベルのような純朴少年が迷い込めば財布から身体まで散々しゃぶりつくされることだろう。そっち系の女性関係には流石のリングアベルも手を出さないようにしている。
「……言っておくけどリングアベルだって自分で思ってるほど大人ではないんだからね?その辺をちゃんと自覚するように!」
「分かっているとも、敬愛する我が女神よ!……それより、ベルが帰ってきたようだ」
外から響く足音が一直線に教会に向かっている。恐らくはベルだろう。
だが、心なしか足音が一つ多いような気がする。ということは……とリングアベルの顔色が変わった。
(ベル、お前……まさか禁断の『お持ち帰り』を!?馬鹿な、女神ヘスティアにどう説明する気だ!!というか相手は誰だぁぁぁぁぁッ!?)
そんな訳あるか、と完全に言い切れないのがベルの恐ろしい所。独り驚愕に悶々と悶えるリングアベルをよそに、ヘスティアは近づく気配がベル以外にもなんとなく覚えがある気質を持っている事に気付き、首を傾げる。
「ん?この風に似た気配はもしかして………」
「ただいま帰りました、神様!!それと、神様にお客様です!!」
「夜分遅くに申し訳ありません……」
ベルが引き連れてきた女性――それは、先日訪れたばかりのクリスタルの巫女、アニエス・オブリージュだった。
「ボクは常々思っているんだけど、若者というのは少々向こう見ず過ぎる所があると思うんだ。うちのリングアベルとベルくんも大概なんだけど、キミも相当だね……いいかい、アニエス?この町にはね………くどくどくどくど」
ヘスティアは意外と説教くさい所があるが、それはあくまで親が子を心配してお節介を焼くようなニュアンスが強い。だが、アニエスのやったことはある意味ベルが一人でケンタウロスと戦うくらいには無謀だった。唯でさえこのオラリ
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