2部分:第二章
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か。そして何処から聞こえてくるのか。
「こっちだ。ジロ!」
「ワン!」
また声が聞こえてきました。そうして声のした方に行くと。
そこにジロがいました。真史のところに駆け寄ってきます。そうしてそのジロを抱き締めると。
「うわあ、くすぐったいよ」
「クゥ〜〜〜〜ン、クゥ〜〜〜〜ン」
優しい声を出して真史の顔を舐め回すのでした。再会を喜んで。
「ジロ、何で僕のいる場所がわかったの?」
「ワン」
けれどジロは答えず鳴いて応えるだけでした。けれど真史はそれを聞いただけで何となくわかったのでした。本当に何となくですけれど。
「そうなんだ。僕の声とかを聞いて」
「ワウン」
「あと匂いかな」
犬の鼻が物凄くいいことはお母さんから教えてもらっていました。それもとんでもない位に。それだったら自分がいる場所もわかるのだと考えたのです。
「それで来てくれたんだね。有り難う」
「ワン」
ここでも嬉しそうに鳴くだけのジロでした。けれどもうそれだけで充分でした。
後はジロがベンチまで案内してくれました。そうしてそこでまた遊んでいるうちにお母さんが来て。笑顔で言うのでした。
「いい子にして待っていたのね。そんなに仲良く遊んで」
けれどお母さんは知りませんでした。真史とジロに何があったのか。真史がどれだけ寂しく怖く辛い思いをしてそしてジロに助けてもらったことは。それは知りませんでした。
お母さんが知らなくてても真史はこのことをずっと忘れませんでした。ジロだけでなく他の犬も皆大好きになって。犬のことを大好きでい続けました。何時までも何時までも。
迷子 完
2009・4・29
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