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ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第30話 カスタムは平和なり
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涙のわけはこの先にあった。

『この度、リーザスから支援を行う事を決定した最大の理由が、キースギルド所属のユーリ・ローランド様より依頼があったからです』

 ユーリとリーザスの間に一体何があるのか、それは詳しくは判らない。でも判る事はある。

「私は……私達はまた、あの人に救われた……ありがとうございます。ユーリ、さん……」

 読み終わった後もランは暫くあふれ出る涙を止める事が出来なかった。







〜リーザス城・女王の間〜



「リア様、カスタムへの資金援助の件ですが、完了致しました」
「そ、お疲れ様」

 リアは、話しを聞きつつ他の書類にも目を通していた。近隣の大きな国の動きを把握する諜報活動の報告書だ。怪しい動きがあると、ここ最近で報告が合った為、危惧しているのだ。

「とりあえず、ユーリに一つ貸しが出来たんだから、それを考えたらあのくらいの事なら楽なものよ」
「ええ……」

 リアの言葉にマリスは頷いた。
 あの時、カスタムでユーリのレベルを計ったときから、彼については最大限にマークをする、惜しまないと自らの中で決めていた。それはリアも同じなのだ。
 歴史上に名を残す人物でもあの数値を記録したものは皆無だ。現人類最強と呼ばれているヘルマンのあの男でも3桁レベルの数値はありえないだろう。

「あの時は はぐらかされた感満々だったけど、……万が一、あの魔人クラスだと思える程の力量を持ってたとしたら、って考えたらね? でも、その気になったら、どんなものでも手に入れられる程の力を持った人物なのに、コレと言って判る欲がまーったくないんだから」
「そうですね」

 陽気にそう言っているが、その表情は冷静そのもの。見極めようと試行錯誤をしている。本当に信じていいのかどうかをも、考えている。

 その表情を見た、1人の忍者が天井裏より リアの傍へと降りたった。呼んでもいないのに、彼女が降りてくる事なんて、稀だと言えるだろう。

「お、畏れながら申し上げます。ユーリさんは……ユーリさんは、信じてもいいと思います。主に意見するなんて……差し出がましいかと思いますが……」

 降りたった忍者……かなみはぎゅっと拳を握りながらそう進言した。これまで、自分から呼ばれずにリアに意見する事など、ほとんど……いや、無かった筈だ。
 それを見たリアは にこりと笑った。

「そっ……、かなみがそう言うんなら、信じないといけないかしらね?」
「ええ、私もかなみの言葉は信じて良いかと思います」

 リアとマリスはそう返していた。
 かなみの働き振りは、以前よりも遥かに増し、且つレベルも上げてきていると言う実績も持ち合わせているのだから。

「あ、ありがとうございます、マリス様、リア
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