放浪剣士
異端審問官V
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の剣。
魔力を絶ち斬り無へと還す。
「今までの下っぱとは違うってわけかい」
それは面白い、と飛びかかってくるロベール。
無駄にいたぶるのは流儀じゃない―――。
剣の一閃は、ロベールの身体を縦に割り肉塊へと変える。
ずしゃりと地面に落ちる肉。
生命力は大したもので、まだ意識があるようだった。
半分になった口をぱくぱくと動かすが、声帯はすでに機能せず言葉を発っせていない。
相手の実力差を見極めるべきだった―――。
剣をもう一振るいし、両方の肉の首を斬り飛ばす。
そこまでして、ロベールはようやくその命を終えた。
それを確認し、剣をふるい刃についた血液を振り払って鞘へと納める。
「一応、能のある鷹だったって事かしら?」
廃墟の奥の暗闇から現れたアーシェ。
君が、この男の気配を消していたのか―――?
「だとしたら、どうするの?」
くすくすと楽しそうにアーシェは笑う。
私は剣に再び手をかける。
返答次第では、斬らなければならない。
「できもしないくせに」
視界に捉えていた筈の彼女がふわりとその姿を消す。
そして、次の瞬間には私の目と鼻の近さにまで迫り、剣にかけていた手を押さえられた。
押さえられた手はピクリとも動かない。
「残念だけど、私は無関係よ」
そう耳元で囁き、アーシェは緩やかに後ろへと飛び退いた。
「そう沢山いる訳じゃないけど、あれくらいの魔術なら使える奴は居るわよ」
私をからかって遊んでいるのだろうか。
相変わらずの余裕だった。
「本当は私が殺そうと思っていたのだけど。手間が省けたわ」
お礼よ、とアーシェは不意に槍状の炎を私めがけて放った。
なっ―――!?
反応が遅れ、対象できない。
死が脳裏をよぎる。
しかし、その炎は軌道をかえ、私の横をすり抜ける。
後方で何かが弾け飛ぶ音。
驚きを拭いきれぬまま、背後を振り返ると―――。
「なるほど…殺さないのではなく殺せない、か」
背後には、アーシェの放った炎を素手で握り潰した奴が立っていた。
そう、ベルモンドが。
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