第十一幕その六
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「教えて頂いた番号でしたが」
「はい、僕です」
「そうですね、検証の結果がわかりました」
「如何だったでしょうか」
「間違いなくです」
それこそというのです。
「ニホンオオカミのものでした」
「毛も写真も」
「しかも生きている」
間違いなく、というのです。
「そのニホンオオカミでした」
「そうですね」
「何度も検証しましたが」
それも科学的にです。
「結果は同じでした」
「ニホンオオカミですね」
「つまりです」
「はい、僕の発見はですね」
「ニホンオオカミが生きている」
この現実をです、園長先生はお話しました。
「世紀の発見です」
「世紀というのは」
「そのことはですか」
「はい、少し」
先生はこの表現には謙遜して困った笑顔になるのでした。
「恥ずかしいですね」
「そういえば先生は謙虚と聞いています」
「謙虚かどうかわかりませんが」
「こうしたことを言われることはですね」
「苦手です」
実際にと答える先生でした。
「ですから」
「それで、ですね」
「はい、ちょっと止めてもらいたいです」
「そういうことですね、わかりました」
園長先生も電話の向こうで笑って先生に答えました。
「ではその様に」
「それでは」
「ではあらためてです」
「はい、本物とはっきりしましたし」
「それならですね」
「これからはですね」
「先生は公表されますね」
ニホンオオカミの生存、それをというのです。
「やはり」
「そうさせて頂きたいです」
「日笠さんからお話を聞きました」
既にというのです。
「それでは」
「はい、それではですね」
「学園長にもお話して」
「それからですね」
「ニホンオオカミを保護出来る様にしましょう」
園長先生もこう言うのでした。
「特別保護動物に指定して、そして」
「そしてですね」
「あの一帯を鳥獣保護区、希少鳥獣生息地に指定してもらいましょう」
「法律で」
「はい、ただニホンオオカミを保護するだけでなく」14
さらにというのです。
「その生息地区全体をです」
「法律で保護するのですね」
「はい」
これが園長先生のお考えでした。
「これでどうでしょうか」
「素晴らしいですね、ただ」
「はい、それでもですね」
「法律を守る人もいれば」
「守らない人もいますね」
「それが問題ですね」
先生はここまで考えているのでした。
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