放浪剣士
異端審問官U
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従わざるおえなかった。
どう言い訳したところで、状況証拠は私が粛清対象だということは明白。
私は不本意ながら首を縦にふると、ベルモンドは満足げに笑う。
「物分かりが良くて助かる」
ベルモンドは席をたち、私に背を向ける。
「なんなら、その女も利用すれば良い。二人とも殺せれば、お前の株も上がるだろう」
俺はお前とは違う―――。
私は、何者も利用したりはしない―――。
私の言葉に、初めてベルモンドの表情が不愉快だと歪む。
「くれぐれも、あの愚か者とは違う道を歩むことを願う」
それ以上は何もなく、ベルモンドは酒場を去る。
利用―――。
私は、ベルモンドの言葉で悪しき考えが頭をよぎった。
彼女とベルモンドを闘わせればどうなる―――?
お互いに只では済まないだろう。
ベルモンドが生き残るにせよ、疲弊したところを襲い、殺してしまえば―――。
奴はアーシェとの闘いで命を落とした事にすれば―――。
そこまで考えたところで、私は自分のそんな思考に恐怖を感じた。
恐ろしい考えを振り払うように私は頭を振る。
とんでもない。
私はこの世で一番嫌悪するあの男と同じ思考になりかけていた。
私は…奴とは違うのだ―――。
そう、自分を叱咤すると席を立ち、日も落ちかけた街へと出る。
いまは、とにかくあの魔術師を殺す。
ベルモンドとはいずれ、必ず決着をつける。
それは、あの時に立てた私の誓いなのだから。
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