第2章 反逆の少女たち
第28話 絶望の中の光
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けないんだ。つまり、逃げられねえ。……ユーリを助けられないまでも、最後の瞬間までここにいさせてもらうぜ? ユーリ。……無事でよかった」
ユーリの姿を見たその時から、優しい笑みを浮かべていたミリ。
出来れば最後まで隣に立たって戦いたかったと悔いは残るものの、志津香と同様に逃げる選択なんかあるわけが無い。恩人を残して逃げ帰ってしまえば、自分を許せそうに無いからだ。
「お姉ちゃんが残るんだから、わたしも……ぜったいに逃げない、ちょっと休んだら、幻獣さんを出してみせるから」
ミルもその小さな身体を懸命に震わせて、怖いはずなのに恐怖を押し殺して、ユーリを見定めていた。最後の瞬間まで姉と一緒なら怖くない。そして、帰られるのなら、みんなと一緒がいいとミルは強く思っていた。
「ごめんなさい。その事だけは私も聞けません。約束……したじゃないですか、皆で帰ってくるって。ユーリさんだけを残していくなんて……死んでも嫌です」
剣を杖代わりに懸命に立とうとするラン。
責任感の強さと心の優しさが人一倍ある彼女。そして、自身はこの目の前の男に救われた命。目の前の男のおかげで生きようと思えるようになった。そんな人を……見捨てて帰れるわけない。
3人は強い決意と思いを胸に、はっきりとそう答えていた。
「これでも、ゆーは逃げろって言うわけ? ……1人で帰ったって、逃がされたって残るのは絶望だけじゃない。判ってるって思ってたんだけど?」
軽くユーリにデコぴんをする志津香。
ユーリは、軽く笑った。
「そう、だったな。誰も死なせない。そう言ったのはオレだった」
「そうよ。その≪誰も≫の中にゆーだって入ってるんだから」
志津香はそう言うと微笑んだ。
「お、おのれぇ……!!」
口の部分も再生し話せるようになったラギシスの呻き声が聞こえてくる。吹き飛ばされたアイツもどうやら、戻ってきたようだ。
「志津香、まだ戦えるか?」
「正直、立ってるのがやっと。でも後1発なら……いける。絶対に」
「……わかった」
戦力としてはこちらが分が悪い。
自身が使っている今の技はあまり長くは使えないのだ。そして、何よりもあの暗黒の波動を防いだ時、体力を大分削られたのだから。
「オレも長くは持たないだろう。短期戦だ。今使える最大の魔法が撃てるようになったら合図をくれ。隙をオレが作る」
「……わかったわ」
志津香は強く頷くと、目を瞑り詠唱を始めた。持てる力を全部出し尽くす為に。
「ごめんなさい……、世色癌があったら、他の薬があったらユーリさんに渡したいのに。全部壊されてしまって」
「オレもだよ。薬屋失格だ」
「うぅ……」
携帯していたアイテムの殆どがあの黒色破壊光線の波動を
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