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『八神はやて』は舞い降りた
第5章 汝平和を欲さば戦に備えよ
第39話 エロは世界を救う
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たか――の力に目覚めたはやては、仇討ちをしようとするも、経験豊富な魔王相手に勝てるわけがなかった。

 そこで本来なら終わるはずだった。が、奇跡は起こった。消滅の魔力を浴びて消滅しようとした瞬間、ジュエルシードが発動する。そして、青い光に包まれたはやての、最期の願いを叶えたのだ。歪められた願いを。
 
 復讐に拘る理由の一端を見た気がした。ロストロギアという神器のようなものであるジュエルシードとやらが宿っているらしい。そして、ジュエルシードの力を使うたびに、そこに宿った怨念に浸食されていくことも。
はやての慟哭が、断末魔の声が耳にこびりついて離れない。ずきり、と心が痛む。俺は、妹を守れなかった。けれども、今度こそは間違えない。
 俺は君を救いたい……何か方法を考えねば。リインフォースとの相談を思い出す。
 
 はやて、きみのためなら死ねる。





 リインフォースは黙って見物していた。主が主になった原点。忌々しい。既に知っていても、忌々しい記憶だ。結局、自分たちは、はやての父を救うことができなかった。忌々しいサーゼクス・ルシファーを打ち漏らしたことも。
 飄々としているように見えて、はやての心は壊れている。最愛の父を奪われた時から、変わらず傷を負い続けている。もちろん、自分たちが寄り添うことで、心のスキマを埋めようとしているし、それは半ば成功しているといってよい。

けれども、あの世界のはやてを救うことも、いまのはやてを救うこともできなかった。本当ならば、はやての復讐を止めるべきなのだろう。だが、それはできない。ジュエルシードの奇跡の産物である八神家は、本質的に復讐を望んでいるのだから。

 理性では理解していても、感情が納得してくれないのだ。だから、自分たちにできることは、はやての意志に従い、忠誠を誓うことのみ。自分たちでは、はやてを止めることはできない。

 しかし、希望はある。英雄派に所属して、希望をみたのだ。決意を秘めた目をした曹操という少年を見やる。彼から受けた相談を、思い出しながら、フッとシニカルな笑みを浮かべた。彼ならばあるいは――リインフォースは、奇跡を願った。
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