第32話 Sanction4
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ラナは驚いていた。自分の体の軽さだけではない。聖門開放による翼を、サテライザーまで使えるということにだ。
聖門開放は、自分の一族でも一握りの人間しか使えない秘伝の技。それを部外者であるサテライザーが使っているのだから、驚かないわけがない。
しかし、それは後回しだ。目の前にいる褐色の戦士を倒す。
拳を握り、一族に伝わる近距離戦闘術を、手加減などする事なく、打ち込んだ。
一撃では無い。全てが同時に響き渡る、四方向からの攻撃だった。イングリットとクレオの得意とする、攻撃回数をふやす、アクセルターンと対をなすテンペストターン。その攻撃は、2人の物と同等。いや、それ以上の完成度を誇った、四人の分身を作り出すテンペストターンだった。
そして打ち出される”空牙”と対をなす近距離専用の拳法。
「「「「炎牙!!!!」」」」
全ての攻撃をその身に受けたクレオは、立つ事すらできなくなり、その場に倒れ伏した。
勝ったはずのラナも、無事とは言えない。
「ゲフッ……」
口から吐きでたのは赤い血だ。
確かに聖門開放は体に負担が掛かる。だが、このまでではない。
いつも以上の力を出せたが、負担もいつも以上だ。
「一体……何が……」
これも愛の力なのだろうか?
と、的はずれなことを考えるラナであった。
****************
サテライザーの速さは明らかにアーネットのアクセルを超えていた。今までの緩いアクセルとは比にならない、もしかすると最高位のアクセルに届くやもしれないほどの速度である。
ーこれは、マズイ!
距離を取ろうと後方にアクセルを掛けるが、そんな距離もすぐに詰められ斬撃が襲いかかってくる。聖痕の翼をはためかせながら、その刃を振るう姿は、まさに天使のようだ。
サテライザーの耳にはまだあのピアノの音が聞こえていた。気分的には、空に合わせて踊っているのに近い。
今自分が出せる最大限のアクセルでアーネットを翻弄し、その体に傷を与えていく。遠慮などいらない。倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ??
そして、戦いが終結した。
勝者はサテライザーとラナ。
しかしアーネットとクレオは負けが決まったというのに立ち上がる。
カズトが覚えているのはそこまでだ。
そこから先の記憶が一切ない。
気がつくと俺は……
体が縮んでいた。
****************
「おかしい。絶対におかしい。」
と、ベッドに座って不機嫌そうに愚痴をこぼすカズト。
「でもカズト君可愛いでありますよ〜?」
と、ちっこくなったカズトを愛でようと少し妖しい目で近づきてくるラナ。
「おい、気安くカズトに触るな。」
と
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