精神の奥底
48 逃亡者・暁シドウ
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イズだ。
赤い「Seamaster」の文字がアシッド・エースのボディーラインのようなアクセントとなっており、一言で言って美しいデザインで高い実用性を持つ。
幾つかの選択肢の中から、シドウとクインティア、ジャック、そして彩斗はこれをディーラーから共に受け取った。
あの頃はまだ4人は仲間として、友達ように良好な関係を築いていた。
同じものを選んだのも、同じ時間を共有したいと思ったからだろう。
しかし今となっては、裏切り者である自分を3人は毛嫌いし、到底同じものを使っているとは思えなかった。
「ハァ...」
シドウはため息をつきながら、シーマスターを机に置き、アクアレーサーを手に取るとねじ込みロックをを開放してからリューズを巻いた。
オメガのコーアクシャルキャリバーのような長期間ノーメンテナンスとはいかないかもしれないが、世界中の人々から支持されるタグホイヤーのキャリバー16であるため安心して使用できる。
約15回程巻いたところで針は動き出し、電波時計であるプロマスターを見ながら時間を合わせて、腕に着ける。
そしてLINKのクロノグラフで3分経ったのを確認すると、カップ麺を食べ始めた。
カレーのスパイシーな味と香りが広がる。
「あぁ...うまい。インスタントもここまできたか」
『食べ過ぎにはご注意を。あなたは食に関しては偏りやすいですから』
「心配するなよ。朝はシーフード味だ」
『...そういうことではないんですが』
「分かってる。野菜も食うよ」
アシッドは首を傾げる。
シドウはレンジから解凍した野菜を持ってくると僅か数秒で全て口に含み、カップ麺のカレースープで一気に押し流す。
続いて残していたカロリーゲッターを平らげ、冷やしていたリポビタンを代表とした栄養ドリンクを3本もテーブルの上に乗せると一気に飲み干す。
『......長生きできるといいですね』
「ん?」
恐らく自分の話を聞く気が無いであろうシドウの態度にアシッドはため息をついた。
シドウの食事に関する雑さ加減はアシッドを含めた関係者なら誰でも知っている。
カロリーゲッターを含めたバランス栄養食やインスタント食品だけで3食を終えることもあれば、牛乳や滋養強壮剤だけで1日乗り切ることもある。
一番目立つのは、ポテトチップスのようなスナック菓子だけで1ヶ月生活したこともあったし、食事を取らずとも約5日は水だけで生き延びたこともある。
しかも腹さえ膨れるなら、例えどんなにマズイものでも平気で食べてしまう。
ヨイリーやリサ、マヤだけでなく、アシッドですら、味覚障害を疑う程だった。
「ごっつぁん!」
シドウはミネラルウォーターで喉を潤しつつ、クローゼットからアルミ製のケースを取り出して、テーブルの上で開く。
そしてポケットから
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