精神の奥底
48 逃亡者・暁シドウ
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き出しを開き、底の板をめくって隠していた武器を机の上に並べていく。
シドウはブロックタイプの栄養食を口に含んでおり、水分が奪われているのか、少しモゴモゴとした口調だった。
「サバイバルナイフが2本、スタンガンが1つ、警棒が1本、睡眠薬が成人3人前。これで全部だ」
次にシドウはWAXAのジャケットを脱いでから、本棚から漢語の辞書を手に取る。
それは辞書のパッケージの箱だけのもので、本来辞書本体が入っているはずの場所には札束が5つ、ざっと500万ゼニー程が入っていた。
更に他の本に隠していたものも全てテーブルの上に並べる。
偽名の運転免許証が3枚、クレジットカードが6枚、パスポートが4つ、通帳が4つだ。
「君津隼也、谷川孝志郎、鷹崎一紗、Ethan Anderson(イーサン・アンダーソン)...ふっ、誰だっての」
『全部偽名ですね。ディーラーにいた頃に用意していたのですか?...外国人名義のパスポート、国籍はアメロッパなのに、アメロッパからの出国スタンプもニホンの入国スタンプもありませんよ』
「まぁ...アメロッパは色々な人種の人間がいるからな。でもイーサンはともかくアンダーソンって顔じゃないよなぁ...」
顔写真だけはシドウのものだが、名前はおろか、生年月日も住所もデタラメの身分証の数々に思わず苦笑いを浮かべた。
シドウも用意した時は適当に考えていたため、今見直すと呆れてしまう。
ため息をつきながら、電気ケトルからカップ麺に湯を注ぎ、テープで蓋を閉めた。
そして机の引き出しに入っていたクォーツ式のTAG Heuer・LINKのクロノグラフを起動して時間を測る。
机の中には他にも幾つか時計が入っていた。
エコドライブを搭載し、1/1000秒の測定にも対応したクロノグラフ、回転ベゼルを備えたCITIZEN・プロマスターLAND、そしてソーラー電波とタキメーター、クロノグラフを搭載したSEIKO・BRIGHTZ。
水深500メートルの環境下にも耐えられるTAG Heuer・アクアレーサー、そしてOMEGA・シーマスター プロダイバーズ300M。
「...今でも着けてるのかな...アイツら」
シドウはシーマスターを手に取って、そんなことを呟いた。
このシーマスターは彩斗やクインティアが持っているものとほぼ同時期のモデルで、ディーラーにいた頃に手に入れたものだ。
水深300メートル下での環境での使用にも耐え、コーアクシャルエスケープメントを搭載し、長期間に渡って高精度を保つことができる。
ただし彩斗やハートレスのものが海を思わせる爽やかで美しいブルーダイアルで36mmの男女兼用サイズなのに対し、漆黒の海のようなブラックダイアルで41mmのメンズサ
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