暁 〜小説投稿サイト〜
White Clover
放浪剣士
魔女の血を継ぐものW
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
いが―――。

「私が殺したの」

私の言葉を遮る彼女。

「馬鹿ね。私のような魔女を泊めるからこうなるのよ」

なぜそんな事をいうのだ。
私には理解できなかった。

幼い彼女に復讐心でも植え付けようとでもしているのか?

馬鹿な―――。

なぜそんな事を―――。

「人間っていうのは愚かよね」

そういう事か―――。

アリスの背後から迫る幾つもの人影と、彼女の一言ですべてを理解した。

「お母さんは……違うっ」

殴りかかろうとするアリスを、彼女は平手で地面へと倒す。

「私を殺したければ生きなさい。どんな手を使っても…何を犠牲にしてでも」

地面から彼女を睨み付けるアリス。
その瞳には光が宿っていた。

復讐という禍々しい光が。

「また生きて会えたなら相手してあげるわ」

迫っていた人影はアリスを守るように前をふさぎ、私達の前に立ちふさがる。

兵士と村人たちだった。

アリス同様、母親の屍を見て、村人達は怒り、悲しみ、責め立てた。

悪魔め―――。

殺されてしまえ―――。

魔女が―――。

彼女のもくろみ通りとなったわけだ。
アリスは悪逆非道な魔女に母親を殺された、普通の、人間の女の子。

「ゴミどもに殺されてあげるほど安い命ではないの」

そういって、彼女は私達と村人達の間に一瞬で巨大な火柱の壁を作り上げた。

壁の向こうでは怒鳴り散らす村人達の声。

「殺すなら殺す。去るなら去りなさい」

そう、私を見る彼女。

しかし―――。

ついてゆく――――。

それが私の答えだ。

彼女はその答えに黙り混み、やがて口を開く。

「アーシェ。あなたが……いえ、あなたを殺す魔女の名前よ」

こうして、魔女と異端審問官―――。

私とアーシェの旅は始まった。

敵同士の奇妙な旅が。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ