放浪剣士
魔女の血を継ぐものW
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いが―――。
「私が殺したの」
私の言葉を遮る彼女。
「馬鹿ね。私のような魔女を泊めるからこうなるのよ」
なぜそんな事をいうのだ。
私には理解できなかった。
幼い彼女に復讐心でも植え付けようとでもしているのか?
馬鹿な―――。
なぜそんな事を―――。
「人間っていうのは愚かよね」
そういう事か―――。
アリスの背後から迫る幾つもの人影と、彼女の一言ですべてを理解した。
「お母さんは……違うっ」
殴りかかろうとするアリスを、彼女は平手で地面へと倒す。
「私を殺したければ生きなさい。どんな手を使っても…何を犠牲にしてでも」
地面から彼女を睨み付けるアリス。
その瞳には光が宿っていた。
復讐という禍々しい光が。
「また生きて会えたなら相手してあげるわ」
迫っていた人影はアリスを守るように前をふさぎ、私達の前に立ちふさがる。
兵士と村人たちだった。
アリス同様、母親の屍を見て、村人達は怒り、悲しみ、責め立てた。
悪魔め―――。
殺されてしまえ―――。
魔女が―――。
彼女のもくろみ通りとなったわけだ。
アリスは悪逆非道な魔女に母親を殺された、普通の、人間の女の子。
「ゴミどもに殺されてあげるほど安い命ではないの」
そういって、彼女は私達と村人達の間に一瞬で巨大な火柱の壁を作り上げた。
壁の向こうでは怒鳴り散らす村人達の声。
「殺すなら殺す。去るなら去りなさい」
そう、私を見る彼女。
しかし―――。
ついてゆく――――。
それが私の答えだ。
彼女はその答えに黙り混み、やがて口を開く。
「アーシェ。あなたが……いえ、あなたを殺す魔女の名前よ」
こうして、魔女と異端審問官―――。
私とアーシェの旅は始まった。
敵同士の奇妙な旅が。
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