暁 〜小説投稿サイト〜
パンデミック Another Episode 〜SCOPIO〜
遺された映像記録 「1」
[1/2]

[1] 最後 [2]次話
日本。

2017年に壊滅した国。
旧グリーンゾーン。
真っ赤に染まった安全地帯。
エリア39。


様々な名称が存在する危険地帯。


そこに、一人の兵士が遺した映像端末が転がっていた。
既にボロボロで、画面にも大きなヒビが入っていた。

壊滅以来、誰も日本に足を踏み入れていない。
当然、誰かがそれを回収するわけもない。


しかし、この端末の持ち主は、それでも当時の現状を画面の向こうに知らせようとした。


これから、自身がどんな道を歩むかも知らずに………


















(ノイズが混じっているが、映像は問題なく再生できるようだ)

















ザザッ   ピーーー  ガガッ


あー、あー……ザザッ……感度良好……録画状態も安定…ガガッ……多少ノイズがあるが…問題ない。



はぁ………俺はエクスカリバー本部所属の兵士フィリップだ。

ザザザッ…………現在の日時は11月8日の午前9時32分16秒……今年は2017年だ。

撮影場所は………壊滅した日本支部周辺だ。


このビデオが誰かの目に留まることは……無いかもしれないが、俺の今の状況を伝えようと思う。





……今から3日前…11月5日に、エクスカリバー日本支部周辺で突如"パンデミック"が発生。
現地の兵士だけでは対処できないという報告を受け、俺たちが支援に向かうことになった。



………結果を言えば、日本支部の支援どころか、防衛すら出来ず、作戦は失敗に終わった。
感染者の数が予想よりも多かったことと、未確認の怪物の介入が要因と思われる。





ピー……ガガッ…たくさんの人がここで死んだ。

俺も………化け物に左脇腹を刺されて、正直死んだと思っていた。



でも……どういうわけか、こうして生きてる。


不思議…というより……不気味だ。




……ガガッ……誰も、俺が生きているとは思わないだろうな……


でも……これでいいんだ。

ここに俺が一人取り残されることになったのも………俺が望んだことだ。




足手まといに時間を割くよりも……この方が……






…ザザザッ……ピーッ……




…でも、生きている以上、何とかして本部に戻ることが出来ないか考えている。



移動手段は今のところ自分の脚だけだ。

走行可能な車は見当たらない。ヘリも全滅している。



それ以前に……日本から本部があるオーストラリアまで、空路も海路も確保できていない……







[1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ