第2章 反逆の少女たち
第25話 魔想志津香
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聞きたくなかった。やっぱり、惣造さんとアスマーゼさんは……」
「……そうよ。確か、アンタも世話になってたよね? もう、あまり覚えてないけれど、私は父と母を救う為にこの場所に来た。何に変えても、守ってみせる。 ……だから、邪魔をしないで貰える?」
志津香もゆっくりと両手を下ろし、攻撃態勢を解いた。ユーリの表情が悲しみで彩られていたのが判ったからだ。自分と同じ様に。
だけど、ユーリは首を横に振る。
「……この先に待っているのが何か、志津香は、本当に判っているのか?」
「……何を? ……ッ!! 隠れて!!」
気配を察し、姿を見た志津香は素早くユーリの手を引いて、岩陰へと向かった。
志津香は、思うまい、考えまいとおもっていたが、この時の手の感触は覚えていた。
幼い頃のあの時のままだと。……あの頃と変わらない温かい感触だと。
荒野の先に見えたのは2つの影。
ゆっくりとこちらへ向かって歩いてきていた。どうやら、話ながら歩いてきている為、自分達には気がつかなかったようだ。それが幸いした。
「……アス、マーゼさん、惣造さん」
ユーリも、2人の姿を見た瞬間に、言葉を失ってしまっていた。この先に何があるのか、何が待っているのかを、判っているのに、全ては《虚無》だと言うのに、それを志津香に伝えることも忘れてしまった。
「お父様……お母様……」
志津香自身も、さっきユーリに言われた言葉を忘れ、両親を魅入っていた。
幼い頃に亡くなってしまった為 その姿は記憶の底、深淵におき去られてしまいそうになっていたが、この時鮮明に思い出したのだ。涙が絶えず流れ続けてしまう。そのせいで両親の顔が見れない。
それでも、流れでる涙をとめる事が出来ないでいた。
「……サーナさんが胸騒ぎがすると言っていたが、何かあるのかな? でも、彼女の勘は良く当たるから」
「そう、よね。……確かに今更彼と会うのには少し怖い思いもあるわ。でも、もう随分昔の事、あの方の、ミステリア様の魔導塾以来ですから、今回誠意を持って打ち解けあえれば蟠りもなくなると」
魔想夫妻はゆっくりとこちらへ歩いてきていた。
ユーリはその言葉を聞いて少し驚いていた。
「……ミステリア・トー。稀代の大魔女の元で魔法を学んでいたのか」
「彼女の元で私も学んでいたわ。……そこで今回の真相を知ったの」
志津香はそう答える。
彼女もミステリアの弟子だったようだ。
「……そう、か」
「……? 何見てるのよ?」
ユーリは、志津香が話をした後、彼女の横顔をじっと見てしまっていた。その視線に気づいた志津香も、両親から一時目を離しユーリを見た。
「……あの頃と、変わってないって思って
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