暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第25話 魔想志津香
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間違いない。……が、表現が随分と野蛮だ。彼女達は元気だぞ」

 志津香は震えていた。
 
 自分がなぜ、攻撃したのか、その根源はあの幼い頃、父と母が行方知れずになり、そんな時に自分を放って消えてしまったあの少年に対して怒っている気持ちもウエイトを締めているのだろう。

 志津香はその思いを無意識に一蹴して、認めずに 先ほどの攻撃を撃ちはなっていたのだ。


「そう、……つまりは、アンタは私の敵って事ね」


 志津香は表情を強張らせ、そして視線を鋭くさせた。

 その目をユーリははっきりと見た。……その瞳の奥は澄んでいる。あの時、惣造が言った通りだ。志津香はそんな事を考えたくないと、攻撃をしたいと思っていないとわかったのだ。
 目があれだけ澄んでいるのだ。……悪い魔女にはどうしても見えない。 幾ら思い出と言う補正が掛かっていたとしても、だ。

「……依頼の内容的にはそうだ。だが、真実は違う。オレは志津香、……君を助けに来た」
「助け? 私がここで何をしようとしているのか、知っているって言うの?」

 志津香は声を強めながらそう言う。
 ユーリはそんな彼女にゆっくりと近づいていった。

「来ないで!」

 志津香は、ユーリが近づいた瞬間に、両手に魔力を集めた。
 威嚇をしようとする彼女だったが、それでもユーリは歩きを止めなかった。志津香も、もう一度撃とうとするのだが、今度はどうしても出来なかった。
 溜まった魔力が、自分の手から離れないのだ。

「この世界で何をしようとしているのか、それは憶測に過ぎないが、判る。……オレ自身、認めたくは無いけれど、な。 ……ただ、それでも、オレは志津香を止めに来た」
「なんですって……? 私を止める?」

 志津香の表情が鋭くなっていく。助ける=止める は有り得ないからだ。今、本懐を遂げ様としているのに、それを止められてしまっては全てが水の泡だ。
 その表情を読んだのか、ユーリは続けた。

「……オレは、その先で、……ここから先で、志津香が悲しむのが判っているからだ。だから」
「何を言うのよ! 今日この日に私の悲願が達成する事が出来るのよ! アイツを殺してお父様を、お母様を救う為の!」
「っ……!」

 ユーリは、何処か自分の中でも答えが出ていた筈の事を志津香に言葉にされた事で言葉を失ってしまっていた。

 過去を変えたいと言う想いを持つ者は、大小必ずいるだろう。

 そして、その中でも最も可能性があるのが、≪死≫の回避だと思っていた。
 町を犠牲にしてでも、町の女の子達を攫ってでも、達したい思いの根源が。

 そして、自分自身の記憶。あの記憶の世界での彼女は笑顔だった。……家族に囲まれていたからだ。だから……。


「……本当は
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