第2章 反逆の少女たち
第25話 魔想志津香
[3/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
色の美しい長い髪の少女。そう、何度も何度もあの光景の中で出てきた人。
「………」
その少女も、同様に困惑していた。
何故だろう、と。
誰?と呼んだ筈なのに、その少女も言葉を失ってしまったように 黙って目を見ていた。驚いている自分に気がつくのにすら時間がかかってしまっていた。言葉を失ってしまっていたのは男の方も同じだった。
「………っ」
「あなたは、あなたは……」
2人はやっと、声を搾り出す事ができたようだ。
少女の名は四魔女の最後の一角であり、リーダーの《魔想志津香》
過去に戻り、ある人を 助け出す為にこの場所へ降りたった少女。
今日はずっと胸騒ぎがしていた。
何故だかわからない。今朝から感じていた胸騒ぎ。その正体が目の前の男だと、直感していた。自分はこの男の事を知っている。話しかけたその時から何処かわかっていたのかもしれない。
そう、幼き日にあっている人。
「……ゆー?」
「……しづか」
互いに呼び名を呼び合う。間違いなかった。幼い頃に出会い、そして少しの期間だけど共に暮らしていた少年。もう、色褪せてしまってもおかしくない過去の幼い頃の記憶だけど、その姿には面影があったのだ。
志津香は、困惑をしながらも続けた。
「ゆー……なの? なんで、なんで、ここに?そんな、ありえない。だって、この場所は」
志津香は慌ててしまっていた。
目の前の男があの頃の人なのは理解した。幼い頃、母と父の愛情を貰い、何一つ不満の無かったあの唯一の幸せだった頃に出会った男の子が今前に立っているのはわかった。
だけど、今その姿でいるのはありえない。
「す、すまない。混乱させてしまったようだな」
ユーリも頭を軽く振り、両手を挙げた。混乱しているのは自分自身も同じだから、改めて事情を説明しようとした時だ。
「っ! 炎の矢っ!!」
「なっ!?」
突然、志津香は魔法を撃ち放ってきた。
慌てて、ユーリは攻撃を受け止めた。初級の魔法だった為、威力はさほど無い様だ。確かに混乱しているのはわかる。だが、それでもいきなり攻撃をしてくるのか?と思えた。
志津香の手を離れた炎の矢は、ユーリに当たる事無く、横の壁に直撃し 消え去った。そして、炎が消え去ると同時に、志津香は口を開いた。
「……アンタが、あの時の《ゆー》なのは 間違いないみたい、ね。……正直 信じられないけど。でも、ここにその姿でいるのだけは、ありえないわ。つまり、アンタも私と同じ。……時を超えたって事」
「……その通りだ」
「そして、アンタは冒険者風の身形。今回、マリア達がやられた。……それもアンタがしたって事」
「オレだけではないが、確かに、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ