第2章 反逆の少女たち
第25話 魔想志津香
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さんやアスマーゼさんが、ここに居たのなら、それが自分たちの為にしていると知っても、絶対に怒ってる。 ……確か、一度だけだが 怒られた事、そういえばあったな。志津香と悪戯をして、食器を割った時だった筈だ。……うん、あれは怖かった」
ユーリは幼い頃の記憶、全部じゃないが戻った記憶を思い出しながらそう言っていた。
悪い事をしたら、ちゃんと怒ってくれた。ただ、甘やかす事だけが愛情じゃない。駄目なものは駄目だと叱ってくれる優しさも持っている人たちだったんだ。
志津香はそれを訊いて、俯いた。
「……うるさい、って言いたいけど、確かにアンタの言うとおりね。………悪かったわよ」
「………」
今度は、ユーリが黙ってしまう。確かに謝罪を求めていた筈だが。
「……今度は何よ?」
黙ってしまったユーリを訝しみつつ、見た志津香。それを訊いたユーリは、苦笑いを浮かべながら口を開いた。
「いや、自分で、言っといてなんだが…… いやに素直だなと思って」
「ふんっ!!」
今度は足のももの内側インローを狙ってきた。正確な位置、そして速さで。そして痛みも上々だ。冒険者であり、それなりに鍛えているのにも関わらず、かなりHPを削られたのではないか? と錯覚してしまう。
「……魔法だけじゃなく、格闘技能もあるんじゃないのか?」
「あるわけないでしょ! それに、有耶無耶になりそうだからさっさと聞いとくけど、アンタの本名! フルネーム教えて。同じ志を持つ仲間になるんだから!」
「ん? 別に《ゆー》でもかまわn「却下よ!」……はいはい」
少しは恥ずかしい気もするが、昔の事を思いだしたから、別にそこまで抵抗があるわけでもない。だから、ユーリはまっすぐに、彼女の目を見た。
幼き日、彼女の父親である惣造に教わった様に、決して目を逸らさずに彼女の目をまっすぐに。
「ユーリ、ユーリ・ローランドだ。……改めて宜しく」
「………」
志津香は差し出された手をじっと見る。少し、間をおいて……その手を握った。
「私は志津香、魔想、志津香」
「ああ、知ってるよ」
「私も言いたかったのよ、……改めて宜しく。ユーリ」
「こちらこそ。……宜しく、志津香」
改めて感じる手を繋いだ感触。
この温もりは、決して忘れていない。色褪せたりは、もうしない。
そして、手を繋いだこの時……あの日の私達がまるでこの場に現れたかのように声が聞こえてきた。
『ゆー!』
『はいはい』
『むー、はいは、いっかい! なのっ!』
『はーい!』
『……ずっと、いっしょだよ?』
『ん? なにかいった? しづか』
『なんでもないっ!さ、ゆー! いこ、ごはんだって』
『あはっ うんっ!』
それは
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