第1章:平穏にさよなら
第1話「プロローグ」
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いうか、いきなり死んだのに家族とかはいいのか?
「“彼”は、事情を説明しても決して怒らずに、すぐ許してくれたんです」
「他の奴らと違ってね」
やっぱりだ。二人の雰囲気が何かおかしい。…いや、神様相手に雰囲気がどうとか関係ないかもしれないけど。
「ふーん…。で、そいつは家族とかいたのか?余程人生に色々あって達観してるような奴しかそういう事は言えないぞ。普通は。でなければ、家族とかに何とも思わない薄情な奴か、事の重要さを良くわかっていないバカだな」
未だに身動きはできないけど、口は動くので思った事をはっきり言う。
「っ…!“彼”の事を悪く言わないでください!」
「がっ…!?」
体中が締め付けられるように苦しくなる。
「あいつの事をバカにするなら、今ここで消してやろうか?」
二人して僕を睨んでくる。…やっぱりだ。何か、おかしい。
「っ…、随分と入れ込んでるみたいだけど、神様が人間一人をそんな贔屓していいのか?」
「“彼”は特別です!」
…なるほど。何か理由があって二人は“彼”とやらに妄信的になってるな…。“彼”とやらを思う彼女達の目が濁って見える。
「そうか…。お前らもだいぶバカだな。神様がそれでいいのか?」
「…その状態で随分と減らず口を叩けるねぇ」
彼女がそう言うとさらに締め付けのようなモノが強くなる。このまま押しつぶされそうだ…!
「余程人生に色々あって達観してないと言えないとか言ったな?なら、お前はどうなんだ?」
「ぐ…が……!」
締め付けが強すぎてなかなか言葉が口にできない…!
「淡々とグチグチ言ってさ。達観してるくせに言いたい放題言ってさ。…どうなんだよ!」
「が…!く…、あぁ、色々あったさ!自他共に認める分にはな!」
僕は、中学の頃に両親を亡くした。兄弟もいなかったし、遺産でお金とかはあったとはいえ、生きて行くことだけでも苦労した。割と裕福だったから親戚の奴らはこぞって遺産目当てにやってくるし、天涯孤独だからっていじめを受けた事だってある。高校に上がってからは、生きて行く上で社会の闇も垣間見た。数少ない友人がいたからこそ、僕は心が壊れずにここまで生きてきたんだ…!
「ぐ…、だからこそ、言わせてもらう!人を何人も殺してしまっておいて、怒られないとでも思ったのか!?僕が怒ったのは、至極当然の事だ!転生とかそんなの関係ない!なのに、怒らずにただ赦すだけなんて、事の重さが分かってないただのバカだ!!」
「いい加減にしろよお前!」
言いたい事をはっきり言ったら、女性の方に殴り飛ばされた。普通なら死ぬはずの吹っ飛び方と威力だったのに、意識がはっきり残ってるのはもう死んでるからか。
「あぐ…!
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