エピ-ミュトス
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ら彼女もニューエドワーズの食事にはありついているのだ。
「よっと」
「あ」
ひょいとプルートが手を伸ばし、小皿のたくあんを一切れ摘まむ。そのまま口の中に放り込んだ。
「ちょっとお行儀が悪いよ」
「 「お」!行儀だってさ! モニカもすっかり教育ママだな」
ぽりぽりたくあんを咀嚼する音を立てながら、プルートはお道化たような調子正面に座る子どもに同意を求めるように視線を向ける。子どもは相変わらず虚空を眺めて―――いなかった。何やら喃語を呻きながら、プルートを見ながら両手をぱたぱた振ってはまた何かを呻いていた。
「なぁに? どうしたの、シーブック」
子どもの頭を撫でる。プルートは思案気に視線を上に向けた後、納得したように手を打った。
「わかった。たくあんが食べたいんだな?」
モニカが注意する暇も無く、またプルートが小皿からたくあんを一切れ摘まむ。赤ん坊は今までのむすっとした表情とは一転してにこやかな、赤ん坊らしい無邪気な笑みを浮かべた。
「ちょっとプル、止めてよ。歯も生えてないのよ?」
「んなこと言うなよ。ほら、めっちゃ嬉しそうじゃん。死にはしねーよ」
「そういう問題じゃ……」
モニカの制止も聞かず、プルートが身を乗り出して真っ黄色の大根の断片を差し出す。赤ん坊は何の躊躇も無く黄色い切れ端を両手で握ると、迷わずそれを口に入れた。
冷や冷やしながらその光景を眺めていると、赤ん坊は特に何の不快も示さずに一心不乱にたくあんをしゃぶり始めた。
「おー、マジで食ってる」
目を丸くしたプルートが子どもっぽい笑みを浮かべる。そういうんなら最初からやるんじゃないよ、と恨めしい視線を送りながら、思う。
大人の女性というのだろうか。どこか大人びた雰囲気の中に、子どもらしい素振りが混じる。
なんだか、プルートも、最初に出会った時に比べてなんだか変わった気がする。片耳だけつけた金色のハート形のピアスがきらりと悪戯っぽく閃いた。
「あいつは、まだだよ」
また漬物に手を伸ばしたプルートが、思い出したようにそれを口にした。本当に何でもないようなことを言うみたいに、道端に生えているプラムを毟って握り潰すように。フォークで鯖を切り分けて丁度口に入れるところで、モニカは開けた口を閉じた。ぽちゃりと垂れた味噌のスープが白い食器の縁に零れて、茶色い沁みを丸く描いた。
「やっぱりまだ?」
声が覚束なる。視線はフォークに刺した切り身だけに注いでいた。
「あぁ―――まだ、あの子は」
プルートの声も、行き場を無くしたように萎んでいく。モニカは、フォークに刺した鯖の切り身を口に入れた。
「なぁモニカ。お前が気に病む必要はないんじゃないのか? その、あたしはその時いなかったけど、でもモニカが悪いわけじゃないんだろう?」
プルートはやはり視
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