87話
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くサイコ・インテグラルシステムを利用したアクティヴ・ジャマーを行っているため少尉には感知できないのだと思います。サイコ・インテグラルは時間軸上の自己の身体感覚を積分することで知覚域を拡大させますが、ある一定以上の強度を超えると自己身体だけでなく他者の感覚知覚をも統合して知覚領域を拡大させます。その際に読み取る他者の五感の感覚に対して、感応波を用いてその相手の感覚に対して欺瞞情報を送り込むことで感覚欺瞞を引き起こす。あるいはサイコミュ端末をジャックすることすら可能です。少尉はもう、その支配下にいる)
対ニュータイプ用のアクティヴ・ジャマー。それも、あの男が言っていたような、気がする。
「それで、本当に俺で勝てるのですか?」
素直な疑問だった。
エレアとは何度か戦ったことがある。その度に腕の差を実感した。
彼女は強い。今まで戦った何ものよりも強い。それに加えて、サイコ・インテグラルなるシステムを使用している。これでは無傷で確保など夢のまた夢だ。《Sガンダム》のカタログスペックだってばかにならない。
(今の少尉の状態は、限定的にサイコ・インテグラルシステムを使用しているだけです。完全に解放すれば……)
「つまりそれをすれば勝てる可能性がある、と」
(はい。その解放は右手のディスプレイ―――N-B.R.Dのモニター用に設置したディスプレイに規定のコードを入力すれば解放できます)
言われるがままにディスプレイを見遣る。ちろちろと光を漏らし、微かに稼働している様子だった。そうして、ディスプレイ上に投影されたデジタルのキーボードで10桁ほどの規定コードを入力すると、小気味良い音とともにディスプレイの脇から何かの部品がスライドする。後は、これを再度押し込むだけだ。
(ですが少尉。よく聞いてください。サイコ・インテグラルシステムに適応していない人間がシステムを規定値以上の出力で解放した場合、物の数秒で廃人になります。少尉は既にある程度適応していますから数秒ということはありませんが、それでも5分以上の連続使用は―――)
その瞬間。
クレイは肌を撫でる悪寒を感じた。
それが攻撃を指向する人間の意思、殺意と呼ばれる思惟なのだと察知し、計器が声を上げるより早くその殺意の源泉を把握する。
一瞬、それがエレアなのかと思った。だがその敵意はあまりにわかりやすく土臭い敵意は、あの少女のものではない。
直上を見上げる。機体のセンサーよりも鋭角なクレイ・ハイデガーの知覚野が、その敵を観る。
《リックディアス》が3機。
それが敵なのか味方なのか―――IFFで探るまでも無く。
舌打ちする。今はそれどころじゃない―――お前らを相手にしている暇はないというのに。
右肩にかかる巨大なビームライフルシステムを掲げる。今の己の持ってしまった持っ
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