暁 〜小説投稿サイト〜
機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
86話
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
行量産型の《リゼル》ではあいつに勝つのは無理だ。お前は下がっていろ!)
「大尉、あいつは―――」
 あの機体は、と口にしかけるのと同時に、ビームサーベルを発振した灰色のゼータプラスが視界の上から飛来し、そのまま直下へと過ぎ去る。
 青い光刃と桜色の光刃が剣戟を撃ち合う。スパークが連続して真空に爆ぜる光景は―――場違いにも、日本の夏に見られるあの花火を想起させた。
 と、機体に何かがぶつかり、鈍い音がコクピットの中を震わせる。
 ちょうど、《リゼル》の肩のあたりだ。視線をそちらにやれば、担い手を失った漆黒の銃器が目に飛び込んだ。
 銃口部分が長く、ほっそりしたバレル。上側部分には赤いケーブルが走り、蝸牛を思わせる弾倉がブルパップ方式で装備された長躯のメガ粒子砲、KBR-L-94bビームライフルの銃身が、銃把が、銃の細部と全体がひっそりと語りかける。
 使え―――と。
 静かに、しかし確かな輪郭を持つ声が心臓を捉えた。
 《リゼル》の右手を伸ばし、銃把を握りこむ。FCSが認証したサインがディスプレイに立ち上がり、銃の詳細なデータが次々と並んでいく。
(貴様は後でしっかり軍法会議で処罰させてもらう。それまで貴様は貴様の任務を履行しろ)
「―――了解!」
 レーダーを一瞥した後、攸人は2機のZが剣戟を打ち合う方目掛けて、フットペダルを踏み込んだ。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ