83話
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《リゲルグ》。〈ガンダム〉がビームライフルを構えるより早くフットペダルを踏み込みながら、ビーム砲を指向してメガ粒子の塊を叩き込む。亜光速の閃光がガンメタルの銃器を撃ち貫き、小爆発に包まれていく。
(ヴォルフリードよりヴォルフ03、聞こえているな?)
(隊長、てっきりやられちゃったのかと思ってたよ! 速くあのガンダムをやっつけて―――)
(03、貴様のディスプレイ上に指定座標を送る。貴様は先にその指示座標へ行って待機していろ)
2刀を構えた〈ガンダム〉が《リゲルグ》へと肉迫する。バヨネットで一撃を受け止め、もう一太刀が振り下ろさる直前に割って入るように《キュベレイ》をすべき込ませ、左腕に握らせたビームサーベルを重ね合わせた。
(は? 隊長何言って―――)
(いいか、こいつらの狙いは擬似的にニュータイプの能力を付与された強化個体だ。そういう点で見ればお前だって十分こいつらの獲物だ!)
《リゲルグ》がビームライフルを構える。〈ガンダム〉が回避挙動を取った瞬間に白い体躯目掛けて《キュベレイ》の身体をぶち当てる。
衝突の衝撃が内蔵を叩く。気が飛びそうな鈍痛に顔を歪めながらも、エイリィは怯んだ胴体に照準レティクルを重ね、コクピット目掛けてビームサーベルを横なぎに払った。反射を置き去りする超速で〈ガンダム〉がビームサーベルを振り上げる。接触した粒子束同士が互いに反発し、防眩フィルター越しに迸った閃光が網膜を焼き、視神経をショートさせる。
(上の人間が噛んでいる可能性だってある以上ネオ・ジオンとて信用はできん。いいか、俺とエイリィでこいつを仕留める。だから先に行ってお前は待ってろ)
掬い上げられるビームサーベル。スラストリバースで回避挙動を取った《キュベレイ》の胸部装甲を切り裂き、コクピットハッチを溶断する。全天周囲モニターの前面が抉れ、防眩フィルターなど意味を成さない閃光が白く視界を埋め尽くした。
ずぶりと腹部に鋭い感触が奔る。恐る恐る自分の腹を見れば、拉げた金属片が突き刺さっていた。
全く論拠が破綻している。この〈ガンダム〉を倒してからというなら《ドーベン・ウルフ》が居たほうが―――。
いや、それも正確ではない。正確に言えば、プルートが居たとしてもこの〈ガンダム〉は倒せない―――!
(でも!)
「プルート・シュティルナー少尉!」
瀑布の如く撃ち込まれる〈ガンダム〉の斬撃をサーベル一本でいなし、捌き切れなかったビームサーベルが装甲に傷を作っていく―――。
カメラの向こうの少女の顔が歪む。卑怯だな、とは思いながら、エイリィはなんとか笑顔になるように表情筋を強張らせた。
「大丈夫だよプルート、こんな奴ちゃっちゃと倒して私たちも行くから―――サ!」
笑顔、というより激痛で引きつったような顔になったが、まぁ、そこか赦してほ
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