83話
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
場に固定された灼熱の粒子束同士が防眩フィルター越しに鼓膜を突き刺す干渉光を迸らせる。マクスウェル・ボードマンは多目的ディスプレイに立ち上がったビームアックスの耐久限界を知らせる警告ウィンドウに舌打ちしつつも玉響の間隙も無く、フロントアーマーに増設された副腕を起動させた。先端に簡易的なマニュピレーターを持つそれがビームサーベルを保持し、Iフィールド内にメガ粒子を固定して光の刃を形成するや、掬い上げるようにして《リックディアス》の右腕を切り落とした。相手がたじろぐ隙も無く胴体にぶつ切りに迸るビームの光軸を叩き込み、内側から膨れ上がった炎に飲み込まれていくのを一瞥すらしなかった。
「こちら第162部隊、ヘッドクォーター、いつになったら退却命令が出るんだ! 奴らは目標を確保したのだろうが!?」
(こちらヘッドクォーター、撤退は許可できない。『アカデメイア』から撤退完了の報告はまだ届いていない。引き続き陽動を続けろ)
「夢想家どものごっこ遊びに付き合った結果がこのザマか!」
無線越しに怒鳴りつけるのと、ロックオン警報が鳴り響いたのは同時だった。
上下から挟み撃ちにするようにして肉迫する《ジムV》が2機。ほんの一瞬だけ、判断が遅れた―――身体的疲労が意識を引っ張ったのだ。
視界の中、《ジムV》の銃口が灰色の《リゲルグ》に狙いをつける。その黒々した銃口からメガ粒子が弾き出され―――。
メガ粒子が奔った。亜光速の砲弾は常闇の真空を1秒とかからずに屹立し、《ジムV》の右腕を貫いた。ビームサーベルを発振させた《キュベレイ》がマクスウェルから見て下方にいた《ジムV》の片腕を切り飛ばすや、スラスターを焚いて後方へと下がっていく。
(もう、何油断してんだよ)
(隊長サン、もう歳だからキツイんですよね〜)
ディスプレイに表示される通信ウィンドウ。2人は余裕らしく見えるが、バイタルデータを見れば、見た目以上に疲労していることは理解できる。
かといって命令を拒否するわけにも行かず、マクスウェルが歯噛みした。
元々兵力差は無いといっていい。違いと言えば相手は、ただネオ・ジオンの無謀な作戦行動―――碌に補給線も敷かずの無策を堪えていればいいだけだ。そして、本来ネオ・ジオンはその『無策』の上でも問題ないような作戦だった、筈なのだ―――。
(あれ、この識別―――)
エイリィの呟きと同時にデータリンクが更新される。
何かの機体が視界の遠くを突っ切っていく―――その白亜の扁平な外観は、一目で連邦系の機体と知れた。
逡巡する。今の機体が飛来した方向を戦域マップで確認し、その機体が例の組織の艦船が停泊している座標の方角であることを把握するや、スロットルを一気に全開まで開放させ、フットペダルを踏み込んだ。
「そこの機体、貴様が『アカデメイア』とかいう組織
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ