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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
77話
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 そんな葛藤を滲ませた顔だった。
 若いな、と思う。自分が軍に入ったばかりのころは、同じような葛藤を抱いていたものだ―――。
 ケネスは自嘲気味に笑った。彼女が若いのではない。それ以上に、自分が年寄りになってしまったのだろう。まるで人生の経験者のように思案しているが、ケネスは女房の1人御するのも難儀している男なのである。
 そんなボケた思案も、《グスタフ・カール》が急かすようにビープ音を鳴らすまでだった。
 レーダーが捉える―――数6。《リックディアス》。
(グラム01より小隊各機、端から狩るぞ)
 隊長の声が鼓膜を叩く。気持ちを切り替えるように鼻から勢いよく息を吐き出したケネスは、ゆっくりとスロットルを開放していった。
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