75話
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むような、奇妙な色だった。
《Sガンダム》。生産された実機は僅かに3機、そしてこの機体はその予備として生産されたパーツをくみ上げた機体だった。実戦投入された機体はそのうち1機―――この人が、そのパイロットなのだろうか。
男の隣に並ぶ。一瞬だけ視線を向けたが、男はまたすぐに視線を《Sガンダム》へと注いだ。
不愛想な男だな、と思った。モニカの救助に現れてから、男が喋った口数は10もないだろう。青白い騎士というのも頷けるその青白さと寡黙さは、見ていて不安になるほどだった。
「知っている機体なのですか?」
長々と躊躇った後、モニカはなるべく愛想よく―――あまり愛想を振りまくという行為には慣れていなかったが―――男に話しかけた。男は、今度は一瞥すらくれずに、それこそそよ風に揺れた葦程度の動作だけで否定の意を表しただけだった。
流石にモニカも傷心だった。そりゃあ、いつもは機械のことしか考えていない。同年代の女の子にはいっつもモブキャラだの地味だのなんだのと言われていたし、それも仕方ないかなーなんては思ったけれど、こうあからさまに無碍に扱われたのは初めてだった。
20代後半くらいだろうか? 東洋人風な童顔のせいで年齢はよくわからないが、モニカよりはずっと年長だろう。優しいおぢさま好きの心情は理解できないが、童顔ながらも精悍な顔つきは惹かれるものがある。にも拘らず―――でもでもでも。
「この機体のことは知らない」
悶々と悩んでいると、ぼそりと―――それこそ蚊が鳴いたかのような音が、微かに耳朶を震わせた。
俺は、と男がモニカの方に視線をやる。男の瞳は東洋人風に黒かったが、どこか蒼味を帯びているような、気がした。
「俺は、新世界にEXAMがあると聞いたから来ただけだ」
言葉を発するだけでも一苦労と言った風に声を発すると、もう何も言うことは無いと言った様子でまた《Sガンダム》に視線をやった。その視線は、睨めつけるようですら、あった。
※
90mm機関砲の弾丸が掠める。だが、そちらに注意を向ける暇などなかつた。
一瞬で接近する《リックディアス》がビームサーベルを振り上げる。巨大なシールドで受け止めた瞬間にディスプレイに警告ウィンドウが立ち上がり、シールドの耐ビームコーティングの摩耗が限界値を超えようとしているビープ音が鼓膜を劈いた。
フットペダルを踏み込む。大出力の閃光を背負った《ガンダムMk-V》はそのまま《リックディアス》の矮躯を軽々と突き飛ばすや、肩に背負ったN-B.R.Dの銃口を重力落下する《リックディアス》に迷うことなく掲げ―――。
舌打ちする。《リックディアス》の向こう、ジゼルの視界に市街地が掠める。
このままじゃ威力がありすぎる。多くの住人は既に収容スペースに避難しているだろうが、それでも
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