74話
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男は、どこか懐かしげに《ゲルググ》を見上げたままだった。
「どうして《ゲルググ》なんですか? 既存機種の強化改修をするならそれこそ《ネモ》なり《ジム・カスタム》なりを使った方が―――」
「あぁ―――」男は、それについては特に感慨も無さげにクレイに視線だけをよこした。
「名目上ってだけよ。アナハイムから色々パーツちょろまかすためのね」
「はぁ……」なんだかよくわからないが、色々込み入っているらしい。
「まぁ、後はフェニクスの思い入れって奴よ」
「大尉の?」
「聞いたことない? フェニクス・カルナップ、サイド3出身のティターンズ。当時彼女が使ってた《ゲルググ》ってわけじゃないけど、外観なんかはそっくりそのまま。雪娘の守護騎士、その幻影―――」
男が最後に口にしたぼそりと呟くような言葉の意味はよくわからなかった、フェニクスについての話は聞いたことは無かった。
ティターンズ。かつての地球連邦軍のエリート組織。ダークブルーの《ゲルググ》の色合いを見ればなるほどと思うが、当時のティターンズが何故《ゲルググ》を使ったのだろう―――味方と思わせておいて、ということと考えれば合目的的だ。
鈍い振動と共にキャットウォークの上昇が止まる。コクピットへとせり出した足場から外部操作でハッチを開けると、クレイは中へと入った。
全天周囲モニター―――一年戦争時の《ゲルググ》には当然なかった装備だ。シートの上のノーマルスーツに着替え、シートに座れば、コクピット周りの計器もクレイの乗っていた《ガンダムMk-V》と同じ最新型の物へと変更されていた。
機体のステータスと武装を確認。外観から確認できたのは90mm機関砲に82式近接装攻殻改―――。
(ハイデガー少尉、聞こえて?)
音声だけの無線通信は、あの禿頭の男からだった。連邦でも特殊部隊用のコードに手惑いながらも、「なんでしょう?」とすぐに返した。
(出撃タイミングはこっちで図るからよろしく。出撃時はサイドコンソールに規定の入力をすればいいから。この《ゲルググ》の直上のハッチが解放した後はガントリーごと地上に持ち上がるから、その後は設備の破壊は気にしなくていい)
クレイは全天周囲モニターの真上を仰いだ。
なるほど確かに壁際にはレールのようなものが敷設されている。
「了解しました」
(それとコールサインは、こっちはSF702、そちらはトムキャット01で行くから爾後よろしく)
雄猫―――重ねて了解の意を伝えたクレイは、《ゲルググ》のコクピットから真下を見下ろした。
エコーズの装備に変えたのだろう、一見でエレアがどこにいるのかわからなかったが、流石に厳つい巨漢の群れの中に在って150cm少しほどの身長のエレアはす
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