74話
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様は、まるで禁忌を犯した巨人が封印されるが如く―――。
MS-14B《ゲルググ》の昏い瞳が、クレイを睥睨するように見下ろしていた。
《ゲルググ》の下には2個分隊ほどの、ダークブラウンのボディアーマーを付けた目出し帽の巨漢がこちらを眺めていた。禿頭の男が暢気な素振りで手を振ると、何人かが頷きを返した。
「上はどうなってるの?」
一際背の高い男を禿頭の男が見上げる。微かに身動ぎすると、
「は、外ではネオ・ジオンの部隊と輸送船の護衛部隊、サイド8から派遣されたコロニー守備隊との戦闘が継続中です。ニューシドニー、ニューマンハッタンのコロニー守備隊の一分が正体不明の武装組織―――推定呼称『アカデメイア』に襲撃されて指揮系統が混乱しているため思うようにコロニー守備隊と護衛部隊の連携が取れていないようです。『アカデメイア』はその後警備部隊のMSを強奪、ニューエドワーズ内に侵入、当コロニー内の試験部隊と戦闘を開始した模様です。またそれに呼応するようにして司令部ビル・通信施設にて潜入していた戦闘員が武装蜂起したものと思われます」
「コロニー守備隊?」
クレイは思わず巨漢に聞き返した。男はクレイの声にもぴくりとも顔を動かさず―――といっても目出し帽のせいでほとんど顔の動きなどわからなかったが―――、ええ、と至極あっさりと応えた。
コロニー守備隊、という言葉と同時に、あの黒髪の女性の顔が脳裏をよぎった。
扶桑みさき―――結局彼女とは会えていない。何バンチの守備隊なのかもわからないが、可能性はネオ・ジオンの部隊と戦闘を行っているか、あるいはその『アカデメイア』とかいいう巫山戯けた名前の武装組織の襲撃に遭って、もう―――。
「何?」
「いえ、別に―――問題ありません」
そう、と禿頭の男は特に気にした風でもない声色で応えた。そう、今―――現在進行形では関係の、無い話、だ。
「まぁそれにしてもいいようにやられてるわけね―――ハイデガー少尉、何かある?」
男が首だけ振り返る。それに伴うようにして一斉に酷く切れ味の良さそうな剣のような目がクレイを見据え、エレアは慄いたようにクレイの後ろに隠れるようにして身動ぎした。
「オーウェンさんから聞きました、今回の騒動はその―――エレアを強奪するためだって」
エレアの右手を握る。彼女の手は、謎の雪のせいか酷く冷たかった。
「『アカデメイア』を名乗る武装組織の目的はその娘の奪取にあるって情報は掴んでるけど」
「でもそれにしては戦闘の規模が大きすぎませんか? 人一人を誘拐するのにコロニーを戦闘に巻き込むなんて―――」
歯を食いしばる。
コロニー。それは、宇宙世紀開闢の時から、宇宙に暮らす者たちにとっての故郷であり大地なのだ。コロニーに対する尊重は、譬え自分に関係のないコ
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