73話
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方にいた《リックディアス》が慌てて機関砲を指向するより早く、右腕に装備されたグレネードを発射。近接信管が作動し、《リックディアス》が爆炎に飲まれていく。
流石に重装甲の《リックディアス》を今の一撃で撃破したとは考えていない。ただその一瞬の隙があれば良い。
雪空の中、閃光を爆発させた《リゼル》は一瞬のうちに相対距離を詰める。その合間、ちょうど隊長機を挟んだ向こうにいた《リックディアス》が隊長機の《リックディアス》を飛び越えるようにしてスラスターを焚く。
瞬間、ヴィルケイはスラスターの指向を強引に変え、《リゼル》は一気に隊長の《リックディアス》の下に潜り込んだ。
灰色の《リックディアス》が機関砲を破棄し、ビームサーベルを発振させる。
賢明な判断だ。高機動中且つ一瞬の判断が要求される中で、慌てて弾倉交換を敢行すれば確実に失敗する―――だが、ヴィルケイにしてみればその判断は頓馬だった。
急降下と急上昇の連続行使による負荷Gの最中、獅子吼を上げた《リゼル》は《リックディアス》の右腕を掬い上げるようにして肘から先を1太刀で両断した。苦し紛れに《リックディアス》が頭部の2連装機関砲のハッチを展開しかけたところに左ストレートを叩き込みながらもすぐにスラスターを逆噴射させた。
背後と上からのロックオン警報。逡巡の瞬間、ヴィルケイは下方から黒い世界の中屹立したメガ粒子の光軸を見た。ビーム砲というにはあまりに出力の弱いそれは、コロニー中の中で減衰しながらも背後の《リックディアス》の機関砲を右手首ごとぐずぐずに溶解させた。
下方の映像が全天周囲モニターの前面に立ち上がる。格納庫エリアの中、陸軍迷彩に塗り染められた《ガンダムMk-V》が肩に懸架されたメガ粒子砲―――N-B.R.Dの砲口を上に掲げていた。
出力調整の自由度が高いN-B.R.D故に、MSを貫きながらもコロニーにダメージを与えない出力での支援砲撃―――それにしても、砲撃のその精度には舌を巻く。
鋭利な視線のままに余裕を滲ませた笑みを浮かべたヴィルケイは、獅子吼と共に未だ健在な《リックディアス》目掛けてスラスターを迸らせた。
「さぁ―――俺と熱いダンスでもしようぜ!?」
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