71話
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ょう?」
(さっきのやつらに消耗しすぎた、一旦下がろう。03、聞こえているか、下がるぞ)
(03了解した)
機体ステータスを一瞥。確かに高々30分ほど戦闘した割に、推進剤と残弾の消耗が激しかった。
了解、と声を出し、接近しつつある敵影を意識しながらフットペダルを踏み込んだ。
と、ディスプレイ上に秘匿回線のコールを示すウィンドウが立ち上がった。桿を操作し回線を開けば、マクスウェルの顔が映った。
「どうしたんです。秘匿回線なんて」言いながら、エイリィは視線を上に向ける。黒い色の《ドーベン・ウルフ》―――プルートの姿があった。
(気にしすぎなのかもしれんのだが―――今回の作戦何かきな臭さを感じる。油断はしないでくれ)
エイリィは、すぐにはわからなかった。エイリィはそもそも政治向きの頭をしていないし、興味も無かった。
だか、なんとなく彼女のフェルトセンスはそのきな臭さを朧気に捉えていた。
エイリィは、視線を上に挙げた。
「了解しました―――私の邪魔をする奴らは食い破るまで、ですよ」
にやと笑みを浮かべたエイリィは、機内の収納スペースを意識した。
※
サイド8・5バンチコロニー『ニューシドニー』。一年戦争時に戦禍に巻き込まれて破棄された小型のコロニーを農業コロニーとして再建したコロニーの景色は、見渡す限りの平原だった。
涼しい良い風が吹く。『ラケス』は柄にもなくそんな長閑なことを思いながら、小高い丘を登った。
頂上―――といってもそこまで大げさなものでもないのだが―――に登れば、向こうには機械化された巨大な工場やらなにやらが見える。
『ラケス』はそれを大した感慨も無く睥睨しながら、それとは別な方向に足を向けた。
安ければいい―――そういう観点で食事をするのは、悪いことではない。だが、それは金のない人間の観点だ。金のある人間なら良いものを食べたいと思うのは必然だ。そして、ニューエドワーズとその他サイド8に居住する人間は概してそういう類の人間が多い。
だから、個人経営で質の良い農業という需要も、このコロニーにはある。
どこかの倉庫の前に立った『ラケス』は、その鉄製の巨大なドアを軽く叩いた。一定のリズムで叩くと、内側からも応答するようにノックが返ってくる。もう一度ノックを返したところで、重たい、軋むような音を立てながらドアがスライドした。
「同志『ラケス』、お待ちしておりました」
整備服を着込んだ年若い青年が笑みを浮かべる。肯き一つで素早く倉庫の中に入った『ラケス』は、目の前に聳然と積み上がった乾燥した牧草のブロックに気圧されるものを感じた。
「この中か?」
顔を顰めつつ、青年に一瞥をくれる。青年は『ラケス』の険しい顔つきに反して、年相応の子どもっぽさを感じさせる誇らしげな笑みを浮か
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