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第一章
笑わないお姫様
ある国にです。一人のとても奇麗なお姫様がいました。そのお顔はまるで人形みたいに整っていて。髪も長くて絹の様に奇麗です。まるで絵からそのまま出て来た様な姿をしています。そのお姫様を見て誰もが見惚れる程です。
けれどこのお姫様はです。全然笑いませんでした。
いつも面白くなさそうな顔をしています。本当に全く笑いません。奇麗な顔なのに表情が全くないのです。
そんなお姫様を見てです。王様はお姫様が笑わないことを心配してです。国にこうお触れを出したのです。
『姫を笑わせた者には好きなだけ褒美を与える』
こう出したのです。そうしてそれを見た人達がです。
次から次にです。お姫様の前に来てです。
とっておきの駄洒落を言ったりお芝居をしたりします。中には顔を思いきり変な顔にしたりします。けれどそれでもなのでした。
お姫様は何を見ても笑いません。まるでお人形の様です。皆お姫様が本当に笑わないのを見てです。段々こんなことを言うようになりました。
「もう絶対に笑わないのかな」
「そうかもな」
「そんなお姫様にはもう何をしてもな」
「意味がないんじゃないのか?」
こんなことを言うようになりました。皆お姫様を笑わせることを諦めようとしていました。とにかくです。
何を見ても笑いません。そしてどんな食べ物を食べても笑いません。素晴らしい音楽を聴いてもです。お姫様は笑わないのです。
王様もです。心配になってきました。娘であるお姫様は絶対に笑ったりしないのかと。それが気になって言うのでした。
「誰か本当に姫を笑わせることはできないのか?」
段々不安になってきたのです。本当に笑わなかったらどうしようかと。心から心配になってきていました。そんな時のことです。
お姫様がいつもの様に無表情で宮殿の外のお庭を歩いていました。その時にです。
宮殿の外から声が聞こえてきました。その声は。
子供達の声です。その声を聞いてお姫様はお付の侍女達に対して尋ねました。
「あの声を出している子供達を見ましょう」
「そうされるのですか?」
「はい、そうします」
こう言ってです。子供達を見るのでした。子供達は泥だらけになって楽しそうに遊んでいます。
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