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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
69話
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 ラグランジュポイント:1。
 一年戦争緒戦期、わずか1週間の内110億人いた人類の約30%を死に至らしめた通称『1週間戦争』後、当時の地球連邦軍本部ジャブロー破壊という当初の目標を達成できなかった旧ジオン公国軍による、再度のコロニー落としによるジャブローの破壊を目的として戦端が開かれることとなる。
 ルウム戦役。MSという兵器が本格的に実戦投入された初の戦闘であり、そしてその新型兵器群の威力を世界に知らしめることとなる戦闘でもある。歴史に名を残す卓越のエースパイロットたちが登場した戦闘、という点でも有名であろう。当時の地球連邦軍総司令官ヨハン・エイブラハム・レビル大将を捕虜とした『黒い三連星』や、マゼラン級宇宙戦艦を含む戦闘艦艇5隻を撃破し、エース・オブ・エースと謳われた『赤い彗星』の伝説は語る必要も無かろう。
 戦闘の影響で、当時のコロニーはほぼ壊滅し、唯一気密性を保持したコロニー『テキサス』が残るだけである。
 大艦隊同士による艦隊戦が行われた一年戦争初期の激戦の地も、14年という歳月を経た今となっては当時の戦闘の傷痕を残すだけの静謐の空間となっていた。
 採光ミラーだろうか、コロニーの残骸や連邦軍の艦艇と思われる物体や、MS-06系列の機体と思われるMSの一部が白い船体を掠めていく。
 無数に浮かび、思い思いに飛んでいく遺物たちの中を行く艦が10隻。コロンブス級輸送艦が6隻に、その護衛を務めるクラップ級巡洋艦が4隻。その進路はニューエドワーズを中心とする新生サイド4に暫定的に建造された、小規模コロニー群である。
 輸送船団の中の一隻、クラップ級巡洋艦『エル・パソ』の艦長は、その鋭い視線をブリッジから外の宇宙へと投げ―――。
 慌てて男は自分の口元に手を当てた。そうして、艦長は自分が欠伸をしたのを掌で隠した。全身が弛緩し、思わず目もとに涙が浮かぶ。一頻り大あくびをした後、艦長は帽子をかぶり直し、手袋をはめ直しながら、盗み見るように視線をブリッジに巡らせた。
 ブリッジの人員は皆背中を見せて自分の仕事に専念しているらしい。気づいている様子の人はどうやらいないと見て良いようだ。ほっとしながら軍服のベルトを締め直し、袖口を弄っては、今度は襟首に人差し指を差し込む。
「あ、いてて。目にゴミが……」
 なるべく自然な素振りで目を擦る。決して眠いから目を擦っているからとか、欠伸で出た涙を拭っているなどと思われてはならない。
 右手で拳を作って自分の口元に持ってきて、そうして咳払いを1つした。席に深く腰を下ろして座りなおした。ほっとしながら身を屈めて、自分の席の足元にある収納スペースの中に在る飲み物に手を伸ばした。そうして銀色のパックを手に取って、そうして再び背凭れに身を許した。
「艦長」
 不意に声が耳朶を打つ。ぎくりと身体を震わせた艦
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