69話
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N-B.R.Dが装備されているのは見慣れた光景だったが、その左腕には物珍しい武装が装備されていた。
武装、というのは正しくないようにも感じられる。平坦な外見はまさにシールドであるからだが、それでもジゼルがその兵装を武装と認識し得るのは、そのシステムがシールドに尽きないからであろう。
その先端にはメガ粒子砲が搭載されていて、シールドでありながらも砲撃戦に対応し得る。加えて、そのシールドはバックパックに装備することで増加のブースターユニットにすらなるというのは素晴らしい兵器であろう。加えて、シールドとしての耐久性も高い―――。
「なんかお前ら面倒くさそうだよなぁ」
のそのそと膝に手を当てて支えにしつつ、身体を伸ばしたヴィルケイもまた《ガンダムMk-V》へと視線をやった。
「あのシールドも新型兵器の実証試験とかなんだろ? クレイとお前はよくやるよ」
「そう? 私としては新型機開発の方がよっぽど面倒くさそうだけど」
「Ζ系の割には悪くねーよ。Ζ計画自体結構蓄積がある技術から完成度たけーし、《ゼータプラス》以上の量産機作ろうって意気込みは感じる。ありゃ良い機体になるぜ」
「にゃるほどねぇ」
先ほどの気落ちした様子はどこ吹く風で、ヴィルケイはまるで大学生が昔の玩具を財力と技術を駆使してリメイクしているような、そんな笑みを浮かべていた。
飄々としているようでMSのことが好きなのだ。じゃなけりゃ元々こんな仕事はしていないのだが。
あぁそういえば、ヴィルケイに借りたままのDVD返さなきゃなぁ、とすっかり元気になったヴィルケイの顔を思い出している時だった。
(ヴィセンテ!)
格納庫に、刺すような声が響いた。ヴィセンテが顔を上げるのに釣られるようにしてジゼルも声の方向―――紫赤の《ガンダムMk-V》の胴体の前にかかるキャットウォークに目をやった。
浅黒い肌の少女がひらひらと手を振る。彼女の表情は、遠くでそこまで明瞭に知ることはできなかったが、ジゼルには彼女が―――困っているように、見えた。眉同士が相談しているように寄りあい、いつもふにゃふにゃの口元には何事か言いたげな、それでいて言説化しようがないもどかしさを孕んだように閉じられていた。
(あのさぁ、質問なんだけど)
「なんだよ?」
ヴィセンテの無線機越しに聞こえた紗夜の声は、やはりどこか歯切れが悪かった。
(次の演習ってN-B.R.Dの試験がメインなんだよね? 実戦装備は重量の関係で装備するだけなんだよね?)
「一応シールドのビーム砲のテストもするんだったか?」
手許のタブレット端末に目を落としながら、ヴィセンテがキャットウォークの手すりに寄りかかる紗夜の姿を一瞥した。紗夜はそれでも釈然としない様子で首を傾げるばかりだった。
(FCSの設定って砲撃戦用?)
「あぁ、
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