69話
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次の演習は専用の設定でやるって聞いてたが―――」
手許のタブレットを忙しなく手で触れていると、ヴィセンテはどこかのページで手を止めた。眉間に皺を寄せて、まじまじと穴のあくほどに注視した後、「変だな」と独り言ちるように声を漏らした。
「なんかあったの?」
「いや、次の演習の資料を見てたんだが、聞いてたのと情報が違う所が―――」
ほら、と8インチほどの黒々したタブレット端末の液晶画面を指さす。
「どうなってんだ―――?」思案気に顎に手を当てたヴィセンテが《ガンダムMk-V》を仰ぐ。紫赤に染め上げられた巨人は、何も言わずに黙然と佇立するばかりだった。
(これ直しちゃっていいの?)
「いや、待ってくれ! ちょっと隊長に聞いてみる」
ぶんぶんと両手を振って紗夜に静止の意を伝えながら、ヴィセンテが駆ける。その後ろ姿を視界の端に捉えながら、ジゼルはクレイの《ガンダムMk-V》の姿を網膜に映した。
取りつく島のない険嵯を纏わせながら、射殺すような鋭い視線がどこかの虚空へと注がれていた。
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