63話
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弾』が炸裂、爆風を爆ぜさせながら金属片を周囲に撒き散らす。立っていれば、彼女は金属を食らって身体中に穴を作っていたところだ。
立て続けに響く激烈な金属音。うつ伏せになりながら顔を上げれば、投擲された剣で磔にされた《ドム》目掛けて白薔薇の《グフ》が肉迫し、ヒートサーベルを握った右腕を金属の刃で切り飛ばし、その刃を《ドム》の胴体に突き付けていた。
投降の通信でもしているのだろうか―――その光景を眺めながら、身を起こした彼女は、誰かが建物の間からすり抜けてきたのを確かに網膜に焼き付けた。
子ども。自分より幼い、金髪の少女。
小さな少女、巨大なMS。そのあまりにも不釣りあいな光景に、彼女は血の気の引く感覚をまざまざと感じた。
背後で音が鳴ったのを聞いたのは、果たして偶然だったのだろうか。思わず振り返った彼女は、その琥珀色の瞳にその機体を映した。
ビルの上に立つ機体。一見それは《ゲルググ》に見えた。だがそれが《ゲルググ》じゃないと気づけたのは、一重に彼女の出自故にでしかなかった。
MS-17《ガルバルディα》。無骨ながらもどこか流麗さを感じるその機体が左手に握ったシュツルム・ファウストを《グフ》に向ける。
ダメだ、と声を張り上げる。クラッカーなどとは比較にもならない爆風、金髪の少女。それを撃ったら―――。
だが無意味。次の瞬間にはパンツァー・ファウストの弾頭が光を引いて飛翔する。
また身を屈めたのは、生存本能という非-合理的認識と、幾許かなりとも軍人としての教養という合理的判断の2要素が無理やり彼女を抑えつけたのだ。
クラッカーの時とは比較にもならないほどの爆音が鼓膜を劈き、彼女は悲鳴をあげた。音が聞こえない。よろよろと立ち上がった彼女は、慌てて周囲を見回す。少女の姿は、すぐに見つかった。急いで駆けよれば、外傷はない。頭を強く打っているかもしれない―――不用意に動かすのは、不味いかもしれない。だが、寝転ぶ少女の顔は爆風に吹き飛ばされた割には穏やかだった。
ほっとしながら顔を上げ―――彼女は見てしまった。
もっと遠くに転がる人―――肉塊。一瞥して、もうダメだ、と思った。頭から出血していた。単なる出血などではない。明らかに、血以外のものが混じっていた。もっと白くてぷにぷにしてそうな―――。
彼女は胃の中から内容物を吐き出した。咳き込みながら、彼女はもう一度その小さな肉の塊を視界の中央に捉えた。
無傷の少女を胸に抱きながら、彼女はその物体に近寄る。
まだ1歳かそこらほどしかない、小さな子供。その、死体だった。
目の前で死んだ。呆気なく、容易く。
金髪の少女が手を伸ばす。その先、遺骸と化したその人形の側、煤けたクマのぬいぐるみが寄り添うように転がっていた。
彼女は、こ
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