59話
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いなものだよ。本当に話したくないことがあったら無理に聞くのは悪いけど、人はやっぱり〈間〉に生きているんだから」
ゆっくりとジゼルは立ち上がる。そうして、エレアの隣に座り、彼女の小さな銀色の頭を抱き寄せた。
「エレアも、ちょっと前に何かあったんでしょう? それが何なのかは聞かないけど、やっぱり自分の問題でも人に打ち明けたいことって、あるから」
エレアが見上げる。その赤い目が微かに幽れていた。
エレアは、自分で解決したのだろう―――それとも、まだ解決していないのか。
「エレアは大丈夫なの? クレイが前に心配してたけど」
少しだけ彼女は迷ってから、こくりと肯いた。
「そっか―――なら良いけど。エレアも無理はしないでね?」
うん、と再び肯く彼女の顔には陰鬱さはない。ただ、どこか決然とした―――そして穏やかさを感じる彼女の表情に驚く。
エレアにとってクレイはどういう存在なのだろう。時間の長さは人の親密さの増大に必然性を伴わないとはよく聞くけれど―――。
「エレアはクレイのこと、好き?」
何気ない言葉だった。そっと彼女を抱き寄せ、エレアの頭に静かに頬を乗せた。
「うん―――だいすき、だよ」
何の頓着も無く。
何の屈託も無く。
何の柵も無く。
エレアの口は、全くの淀みも無く、そういう意味の言葉を口にした。
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