52話
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の装甲に生傷のような被弾痕を穿つ。
その砲撃はあまりに正確無比。気を抜いた瞬間に、コクピットにメガ粒子砲を叩き込まれるという確実な予感―――背筋が凍えた。
あれだ。エイリィの直観は、あの赤いガンダムが目標と告げた。だが、マクスウェルの練達のパイロットとしての無意識的合理的直観が、あの黒い《ゼータプラス》こそが目標なのだと告げていた。
言葉を発する余裕すらない。瞬く間に相対距離を零にした漆黒の《ゼータプラス》が、残光を引いた血濡れの瞳をぎらつかせる。シールド裏のビームマシンガンを連射し、ライフルを放棄してサーベルを引き抜く。力場で固定された青白い閃光の刃が具現するや、気勢そのままにその刃を振り下ろした。
両手にそれぞれ戦斧を保持させ、左腕の刃を薙ぎ払うようにして降りかかってくる斬撃に重ね合わせる。接触と同時に力場が干渉し合い、日輪の如きスパーク光が迸る。
ビームアックスを振るう―――瞬間に《ゼータプラス》がシールドと連結した2門のビームマシンガンを指向する。反射的に左腕に保持させたビームアックスを無理やり押し込み、《ゼータプラス》がよろめく隙に《リゲルグ》の身をよじらせてペレット状のメガ粒子の弾丸を回避、立て続けに掬い上げる要領で右腕のビームアックスを振り上げると、《ゼータプラス》が横なぎにビームサーベルを振るい、再び接触し合った数万度の刃同士が干渉光を炸裂させた。
その鮮烈な光の中に、ゆらりと青い光が混ざった。漆黒の《ゼータプラス》の装甲の継ぎ目から、あるいは関節部から―――まるで幽鬼の如く、青白い炎がゆらりと―――。
意識を鮮明にさせる。視界の中にあるのはただ鋭利な白い光だけだ。気負いがそうさせた幻影と断定し、マクスウェルは《リゲルグ》の副腕を起動させんと意思した。急場で増設されたそれは、本来《リゲルグ》に装備された兵装ではない。そうであるが故に奇襲の一撃、その1太刀で沈黙させんとしたその瞬間、突き上げるような衝撃に意識が消失しかけた。
《ゼータプラス》が鋭い蹴りを放ち、展開しかけた隠し腕を拉げさせた―――ダメージコントロールが隠し腕2つともが起動不能になったことを伝え、慄いたのは束の間。即座に自機と敵機の状態を把握すると、機体がのけ反る勢いに任せて足を振り上げバーニアを焚き、そのままバックパックに懸架したままの無反動砲の砲門を《ゼータプラス》に向けた。
相対距離は近接戦闘域。散弾とはいえガンダリウム合金でコーティングされた弾丸は、至近で直撃すればただでは済まない。
FCSと直結した無反動砲が火を噴く。
必殺の奇襲たるその弾頭が弾ける、その数瞬。
《ゼータプラス》は腰から逆手でビームサーベルを引き抜くや、その秒ほどすらない間隙目掛け、身を避けさせながら引き抜くままにビームサーベルを振り上げた。
ビ
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