50話
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絶叫にも似た声で報告したオペレーターの声は、ウォースパイトのブリッジの空気を戦慄させるに十分だった。
《ドーベン・ウルフ》―――その名を地球連邦軍で知らぬ者はいない。
第一次ネオ・ジオン抗争時に開発された屈指の第4世代機。従来の第4世代機が須らく高度なニュータイプ能力を強要したのに対し、堅実な設計思想の元に制作された孤高なる戦狼は、装備を対テロ戦闘用に移行したい地球連邦軍の頭痛の種だった。数が少ないため専用の装備を製造するわけにもいかず、かといって最新鋭の主力機《ジェガン》の手にすら余る機体―――。
「第3中隊の《FAZZ》は健在な筈です、すぐに向かわせなさい! それと第11大隊もです!」
「了解! ヘッドクォーターよりオール・トマホーク、戦域Aに出現した《ドーベン・ウルフ》の討伐に向かえ。繰り返す、戦域Aに出現した《ドーベン・ウルフ》の討伐に向かえ!」
「ヘッドクォーターよりスネークヘッド、出撃準備に移れ! 繰り返す、出撃準備に移れ!」
俄かに喧騒が巻き起こったブリッジの中で、アヴァンティーヌはついぞ気が付かなかった。ポールもまた気が付かなかった―――というのも、彼らにとって《ドーベン・ウルフ》は確かに最も優先度の高い標的であることは事実だったし、また気づいてこそいないが誤った選択肢を選んでしまったわけでもなかったのである。
ただ、構造を構成する要素の差異が生み出した認識の相違というだけである。プルート・シュティルナーにとって、己の存在は選りすぐりの敵を惹きつけるだけの的でしかなかったことなど、アヴァンティーヌには知る由もなかった。
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