49話
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ほどの拮抗もなくタイホウの装甲を溶解させ、その砲撃はちょうどMSの格納庫を貫き、補給のために帰還していた《ネモV》の中隊を一撃の元に蒸発させていった。
悲劇、あるいは喜劇はそこからだった。
本来格納庫に被弾した程度で艦船は沈まない。元々がらんどうの空間を、ただビームが掠めただけだからだ―――だが、タイホウはMS6機を搭載し、さらに《FAZZ》のために大量にミサイルやらなにやらを積んでいたのが仇となった。MS本体あるいは火器が爆破。連鎖的に機関部まで誘爆したタイホウは、内側から膨れ上がった劫初の炎に飲み込まれ、倦怠感を満たしたオレンジ色のオリオン座α星ベテルギウスそのままの姿と化した。
放出された閃光が収束していく。光が霧散し、不意に鼓膜を刺した甲高い音と立ち上がったダメージコントロールのウィンドウにプルートは舌打ちした。
一撃。ただ一撃砲撃しただけで、ディスプレイに表示された機体のステータス上のメガランチャーの表示に赤い光が灯っていた。
これだから互換性のない武装は困る―――独り言ちて、プルートはさっさと胴体から切り離し、メガランチャーを破棄した。
「窯に火はくべたな―――出るよ! 全機、兵器使用自由!」
獲物を食い散らかした《ドーベン・ウルフ》が人工の地を蹴る。
素早くペガサス級強襲揚陸艦の格納庫から身を乗り出す。砲撃地点にちんたら留まっているのは間抜けのすることだ。
後続の《ザクV》3機も素早く格納庫から這い出す。腰にマウントしたビームライフルを装備し、3機の荒武者を従えた獰猛な獣が艦隊へと猪突した。
※
「―――やったか」
聳立したビーム砲の切っ先に巨大な爆破を認めたマクスウェルは、破壊されたコロニーの外壁の裏から自分の部下の功績を見とめた。
作戦は順調だ―――後は、自分が上手くやれれば作戦は完了。残るは戦域からの離脱のみ。
マクスウェルは幾許かの不安を抱えながら、主機の出力を上げた。
ほとんど暗がりの全天周囲モニターが点灯し、CG補正された死に至る世界を投影する。
(行きましょうか)
ディスプレイにエイリィの通信ウィンドウが立ち上がる。死体安置所のように冷たく、ただハムノイズだけが響いている―――視線を横に流せば、ダークグリーンの《ズサ》が3機にエイリィの《リゲルグ》が1機、単眼を妖しく輝かせていた。
《リゲルグ》、という名前に対し、そのシルエットは異様だった。
巨大なユニットを背負ったその姿は、MSという流麗な戦闘システムに比してあまりにも不恰好だった。ただ《ズサ》の大型ブースターユニットを無理やりつなげて機動性を上げようという短絡的な発想のそれは、もちろんその勇敢な浅慮の代償に、劣悪極まりない操縦性を保証している。。
「全機、傾注!」
通信ウィンドウに、部下
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