48話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ブリッジに飛び込んでくる情報から推測して、作戦は順調に進みつつあるようだ。
先鋒として出撃した第11大隊は補給のために帰投し、交代するように《ジムV》の部隊が前線へと上がっていく。タイホウから《FAZZ》の小隊が出撃したとの報告がアヴァンティーヌの耳を打った。
元々敵の数は多くない。対して、ウォースパイト機動打撃群のMSの数は60機を上回る。豊富な戦力を広く展開することで、敵の対応力を上回る―――その作戦は事実成功していた。最も厄介と思われた迎撃システムの破壊も、ほとんど損傷も出さずに着実にこなしていた―――システムそのものが一年戦争前後の古いものだから、というのもあるが、一重にMS部隊の練度と装備の優秀さが要因だろう。
ウォースパイト、並びに艦隊の前進を指示したアヴァンティーヌは、ECOS投入の機会を伺っていた。
戦場のど真ん中を突っ切る都合、陸戦部隊の喪失は考慮せねばならない。89式ベースジャバーを改修した90式の速度と航続距離はMSのそれを遥かに上回るが、対弾性能はMSとは比較にもならないほどに脆弱なのだ―――。
(マーリン、ポイントEの迎撃システム及びMSの60%を漸減)
オペレーターのその声が合図だった。参謀のポールと目を合わせたアヴァンティーヌは、ジャンヌ・ダルクへとレーザー通信の回線を開いた。
「ECOS第902部隊に出撃命令を」
※
(ジャンヌ・ダルクよりSFE902、出撃せよ。繰り返す、SF902、出撃せよ)
ジャンヌ・ダルクのオペレーターの声が耳朶を打つ。それに返答しているであろう、ECOS第902部隊の司令である中佐の、頼りなさそうな声を思い出して笑いかけたみさきは、ディスプレイに立ち上がったオリェークの堅物そうな顔にひやっとした。
(コールサイン確認。ジュガーノフ、ES10)
「フソウ、ES11」
相変わらず、オリェークの声は急峻な岩山のようだった。
(実戦は初めてか?)
「いえ、前に1度」
そうか。
傍目では無関心な様子だが、数日オリェークと共に異機種連携の訓練を行って、この男はあまり感情を露わにしない質なのだと理解していた。というより、それは部隊柄と言った方がいいのだろうか? みさきにはよくわからなかった。
おそらく、オリェークが声をかけたのも単に新兵をいたわって―――などという直情的なものではないのだろう。共有されるパーソナルデータに通信カメラ越しの表情の機微、あるいは日頃の立ち振る舞い。そういったものを全て精査に分析して必要だ、と感じたから声をかけたのだろう、と見当づけた。
(フソウ少尉は基本的に陸戦部隊の護衛に専念してくれればいい。その機体のフィン・ファンネルはそれに適している―――それに、君はもしものための切り札だか
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ