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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
48話
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らな)
 改めて、みさきは己の能力を意識した。
 彼女がニュータイプの素養がある、と知ったのはハイ・スクールで偶然行われた適性検査のせいだった。MSパイロットを目指していた理由は確かにMSという兵器が『かっちょいい』からに過ぎないが、かのアムロ・レイ中佐が最後の愛機《νガンダム》に乗れるのは単純に自分がニュータイプの素養があったからに過ぎない。そこに、みさき自身の努力の結果などは欠片ほども無かった。かといって殊更にその事実に悲嘆するでもなく―――ただ彼女は、『かっちょいい』ガンダムに乗れるのが楽しいと思っていただけだ。
 アナハイム・エレクトロニクスのあのやたらグラマラスなおばちゃんさえいなければもっと単純に楽しいのになぁ、とは常々思っている。最も、あのおばちゃんが居なければ《νガンダム》にも乗れないのだが―――。
(―――第5班は『ウォーターバック』の確保。MS部隊は敵地侵入までの近接護衛及び茨の園突入後の敵障の掃討に当たってもらう)
 オリェークの了解の声に合わせて、みさきも声を上げた。
 第一カタパルトへはオリェークの《ハンブラビ》が向かう。みさきは第二カタパルトへ《νガンダム》を向かわせると、カタパルトの上に接続された90式ベースジャバーのプラットフォームに設置されたグリップを握りこませた。
 まずMSが先行し、後続の人員を乗せた90式ベースジャバーの呼び水にする。単純だが、堅実な方針だ。今必要なのは気を衒った放恣ではなく、理性的な作戦行動というわけだ。
(ES10、《ハンブラビ》出撃する)
 リニアカタパルトから射出されたダークブラウンの《ハンブラビ》は即座に海鷂魚ともジェット戦闘機ともつかない鋭角的なフォルムへと変形した。
「ES11、《νガンダム》行きます!」
 カタパルト脇の電光掲示板のカウントが0を刻み、誘導要員が背後に下がりながら細長の赤いライトを振り下ろす。稼働したリニアカタパルトが齎す負荷Gのプレッシャーに顔を歪めたみさきは、制御下にあるベースジャバーの巨大なスラスターと増加ブースターを一気に点火。閃光を引いた《νガンダム》が異界へと飛びたつ。
 翼をはためかせ、推進剤の羽をまき散らした異形の者が星海を泳ぐ。その姿は、預言を人間に伝えるために聖なる神威の者が天上の世界へと還っていく姿を想起させた。
 ECOSの陸戦部隊を乗せたベースジャバー3機が《ハンブラビ》と《νガンダム》の背後に付く。
 目標は茨の園。その奥にひっそりと暮らしている『ウォーターバック』―――。
 みさきは、操縦桿(スティック)を握る力を強くした。
                       ※

 腕部から立ち上がった筒を引き抜く。携帯用のライトにすら見えるそのモジュールの先端から力場が形成され、数万度に達する輝く剣を具現させ
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