47話
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リガーを引き絞った。
メガ・ビーム・ランチャーから吐き出された大出力の光の濁流は《ガザD》を丸々飲み込み、もう1機の《ガザD》の下半身を蒸発させた。死んでいない―――《ガザD》のパイロットの塵ほどの安堵は、即座に数千度の光の中へと溶けた。02―――エレアの《ゼータプラス》のスマートガンは、無慈悲なまでに精妙な砲撃で《ガザD》のコクピットを撃ちぬき、倦んだ恒星のような火球が膨れ上がった。
(全くこれでは我々が居る意味はないな)
多目的ディスプレイに通信ウィンドウが立ち上がると、共和国軍のパイロットは呆れたような戸惑ったような、されどどこか安堵を滲ませた顔をしていた。
ジオン共和国国防軍は前線へと出向いている部隊もあるが、各試験部隊の護衛が主な任務だった。本来であれば護衛である国防軍が敵を漸減させ、残った敵で装備の試験―――となるはずだったのだが、何分《リゼル》の完成度の高さは予想より上だったというわけだ。加えて元々本格的に量産されている《ゼータプラス》に、そのパイロットであるフェニクスとエレアの操縦技術は芸術の域と言ってよい。視界の遥か先では、《ゼータプラス》が《ガザC》の右腕を撃ちぬき、怯んだ隙に直上から猛禽の如く強襲した《リゼル》がその刃で《ガザC》の上半身と下半身にお別れの挨拶をさせていた。爆発。ぼん―――。
攸人は不意にコクピットが揺れたことに動揺したが、すぐに鼓膜を揺らしたエレアの声で接触回線と理解した。
(大丈夫だよ。初の実戦で撃墜2は凄いんだから)
曰く「お肌の触れ合い」。確かにそれは音声だけだったが、こちらを確かに見る《ゼータプラス》の視線の向こうに感じるエレアの眼差しを感じて、攸人は我知らず安堵感を覚えていた。
攸人はニュータイプだのにとんと興味は無い。だが、クレイが言うにはニュータイプは人の死に過敏らしい―――だとしたら、むしろこの殺し合いに対して少女は心を痛めている筈だ。
2人。攸人が確実にこの手で殺めた人間の、今のところの数―――。
自分の手が震えているのを感じ、バイタルデータに表示された自分の身体データが明らかに緊張状態であることをも理解した黒髪の青年は、戦闘中であるにも関わらずきつく目を瞑った。
大義なんてない。正義すら感じていない。それでも攸人はこの手で、人を殺した―――。
クレイの顔が脳裏をよぎる。
目元に力を込める。無理やり視界を開けた攸人は、前進の指示に従い、フットペダルを踏み込む。 ディフェンサーβユニットを装備した《リゼル》がスラスターを唸らせ、巨大な装備を背負った蒼が宇宙を横切った。
※
アーガマ級巡洋艦エイジャックス格納庫。MS8機を収容可能な巨大な格納庫には、未だに4機のMSが並んでいた。
真紅の《ガンダムMk-V》のコクピットの中、微かな音も発さずにシ
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