46話
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なり、身体を強張らせたままだった。
「仕事のお邪魔でしたでしょうか」
真面目に受け取った彼女は、委縮したように身を縮めた。
「冗談だ冗談。そんなに固くなるな」
敬礼を先に解き、フェニクスはなるべく親しみ深くなるような笑みを浮かべることを心掛けた。琳霞の緊張は完全には解けなかったが、幾分かはそれで和らいだようだった。
琳霞はその後、やはりフェニクスの予想していた行動をした。つまり、元ティターンズのフェニクスを称揚する言葉を熱っぽく語ったのである。
サイド3の政治的立場は、多くの市民が考えているほどに安泰なものではない。一年戦争の直接の原因として語られる―――それは事実だ。だが後の旧ジオン公国軍残党による紛争の原因となったことは一度として、ない。しかし、同じ『ジオン』である故に、地球圏に住まう短慮な人間たちは、旧ジオン公国軍残党による武装蜂起の度にサイド3に責任を帰してきた。サイド3の市民たちは、身勝手に紛争を繰り返すかつての同胞たちに強烈な不快感を抱いていたのである。だからこそ、ジオン残党狩りを澪標とするティターンズは熱烈に歓迎され、サイド3出身でありながらティターンズに入隊したフェニクスを強く称揚する動きがあるのである。もちろん、サイド3がその一色に染まったわけではないが。
「大尉の駆るB型の《ゲルググ》の活躍にはいつも感動していました。あの時はジオンの正面装備も《ゲルググ》でしたから入隊が楽しみだったのに―――」
落胆と憤懣を滲ませた溜息を吐いていた。
「《ハイザック》も悪い機体ではないと思うんだが。ブロック6まではとんだ欠陥品だったが」
「あんなものは《ザクU》の模造品です! 姿だけ似せただけのホビーですよ。《ザクV》も上っ面の真似っこに囚われているだけです。《ゲルググ》こそ新しいジオンの象徴、精神的な意味で真の《ザクU》の後継機は《ゲルググ》です!」
息巻いて身を乗り出していた琳霞はハッと身を硬直させると、顔を真っ赤にした。
「すみません…勝手に舞い上がってしまって」
「構わないよ。今は私的な時間だからな」
はい、とか細い声で応じたまま、琳霞は委縮したままだ。よっぽど恥ずかしいのか―――琳霞にそのような感情を惹起させているのがまさに自分である、というその事実に奇妙な物を感じながらも、複雑な気持ちで琳霞を見やった。
まさにそのホビー……もとい《ハイザック》のデザインがティターンズで採用されるに至った理由が、フェニクスたちサイド3出身者が使用した《ゲルググ》にあるのだが。ティターンズのその部隊の性格故、MSの外観が与える心理的効果なども重視したという。RX-178《ガンダムMk-U》がガンダムタイプのMSとして開発されたのもその一環である。噂では単眼式のメインカメラを採用したガンダムもいたらしいが、モノアイを搭
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