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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
43話
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がウィンクしてプルートを見返していた。
 わずかこれだけである―――何が?
 体を洗えるのに使える水の量が、である。
 地球においては、砂漠は極めて補給し難い気候であるという。宇宙空間はさらに酷く、経済事情の悪いネオ・ジオンは悲惨の一言だ。元々補給がままならないのに加えて、今は宇宙でも辺鄙な場所だからなおさらである。この桶一杯の水も、1週間ぶりなのである。つまり、プルートは一週間ぶりに水を浴びるのである。さらに、当然のようにこのシャワールームは男女共用である―――事実、隣からは《ドーベン・ウルフ》機付き長のひもじい声が聞こえていた。
 手にどろっとした白い液を垂らし、水を含ませて泡立てる。ある程度泡だったのを確かめると、なんとか水気を与えた髪の毛に泡を纏わせた手を突っ込む。
 汚れだらけの髪に対して、ほとんど付け焼刃でしかないが、それでもマシだった。指に髪が引っかかりまくるのに顔を顰めていると、いきなり間仕切りのカーテンが音を立てて開いた。
 悲鳴をあげて慌てて大事なところを防御。野郎が近くに居ること自体には慣れつつあるが、流石に全裸の姿を見られるのには抵抗があった。
 身が捩じ切れるくらいに振り返ると、見知った顔が―――エイリィの笑った顔があった。
「ねぇ今の凄い可愛かったよ。もっかいもっかい」
「二度とするか!」
 ぺちんと頬にグーパンチを撃ち込む。顔を変形させながら笑みを浮かべたエイリィは、自分の水を一滴とて零さないように慎重な動作で桶を床に置くと、そのままシャワールームに入ってカーテンを閉めた。
「なんでわざわざ同じところに来るんだよ」
「洗いっこしよーよー。そっちのが能率良いし洗いやすいし」
 屈んで手に石鹸を泡立てたエイリィが白い歯を見せる。プルートが応える暇も無く彼女は立ち上がると、貧弱な泡のついた頭に指を入れた。
 既成事実と化していた。
 仕方なく風呂用の椅子に座り、プルートはなされるがままになることにした。別に、断る理由もないのである―――エイリィの手つきは柔らかくて洗礼されていて、素直に気持ちよかった。
 何回か髪が引っかかった後、エイリィの手がうなじのあたりに伸びる―――ボディソープとシャンプーの区別すらないのである。
 そのまま肩へ、そうして背中へ―――。
 ね、とエイリィの声が外耳を撫でた。
 何、とくすぐったさを感じながら、プルートは応えた。
「今日えっちぃことしない?」
 するすると腰のあたりを手が這い、下腹部へと回る。密着したエイリィの身体は、成熟した雌の柔和さだった。
「やっと身体洗えたのに」
「綺麗になったからするんでしょ」
「そりゃそうだけど」
「んじゃあ決まり!」
 ぎゅっと一度プルートの小さな身体を強く抱いたエイリィは、務めて念入りに―――ではなく丁寧にプルートの
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