40話
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のように、そっと壊れ物に触れるように右手を上げて彼女の頬に触れた。艶やかな彼女の白い肌は温かくて柔らかくて―――。
何かがちらちらと光った。
ガーネットから垂れた雫が彼女のミルキークォーツの肌を流れ、クレイの手を伝う。
「なに? 俺何かした?」
慌てて手を引っ込めるが、彼女は滔々と涙を流し続けたまま、声も無く首を横に振った。
「ごめんなさい」
彼女の声は、やはり涙に滲んで掠れていた。
「何が何だか……言ってくれなきゃわからないよ」
わざとお道化たように肩を竦めて見たが、エレアはただ謝罪の声を繰り返すだけだ。クレイは戸惑いながらも、彼女の酷く小さな身体をそっと抱き寄せた。エレアはクレイに縋るように肩を掴みながら、未だにごめんなさいの繰言を吐き続けて、小さな小さな身体を衰弱したように震わせ続けた。クレイは、ただその巣から落ちた裸の小鳥のようなその震えに対して、あまりにも無力だった。
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