38話
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るといったところか。
(08、準備オッケー?)
多目的ディスプレイに立ち上がった通信ウィンドウのアヤネの声は普段通りの砕けた様子だ。軍服を着ていながらのその調子にズレを感じたが、それに応えたクレイの声もいつもの仕事中の声色ではなかった。
整備兵の退避完了と機体各種の最終チェックの報告のやりとりを終えると、カメラの向こうでアヤネが親指を立てた。
(クレイもモニカも頑張ってね)
各々頷き返すと、格納庫とカタパルトを分断するハッチが展開。自動操縦でカタパルトに接続すると、一端軽く揺れた後に視界が滑らかに右に流れていく。
真紅の《ガンダムMk-V》が完全に真空に身をさらす。どこまでも物理的冷然さを見せつける漆黒の絵画も、見慣れてしまえば日常の風景――――――だった。
(ゲシュペンスト08、発進してください)
「了解。ゲシュペンスト08、《ガンダムMk-V》出撃します」
スロットルを開け、スラスターを焚いた巨躯が身を屈める。リニアカタパルトは音も無く爆光を背負った《ガンダムMk-V》を射出した。
いつもより、重い。
普段の装備とは異なった機体の重さにやや戸惑う。
武装は無い。ビームサーベルさえ持たない《ガンダムMk-V》はほぼ丸腰だったが、その小脇には一際巨大な”筒”を抱えていた。”筒”の後ろからは太いケーブルが伸び、背中に負った巨大なコンテナに接合されている。
これが今回の目玉だ。
CG補正された映像越しに一瞥をくれていると、モニカの驚きの声が無線越しに聞こえた。
(あれ、見てください!)
後部座席から身を乗り出したモニカが指をさす。見上げてモニカの仕草を認めたクレイは、その作業用のゴツイノーマルスーツが指さす先を見て、いよいよと唇をきつく締めながらも、感歎に息を飲む感覚を覚えた。
機体のセンサーはそれが遥か遠くにあるのを告げている。
宇宙という距離感の喪失した空間にあって、なおその威容は手に取るように把握された。
白亜に染め上げられた横長の棒。一見すればそんな感想しか抱かないが、相対距離を縮めるに従いその幼稚な印象は改められる。
ラー・カイラム級機動戦艦―――その下方から接近しつつあったクレイは目を見開く。
船体はおおよそ600mにも及ぶ巨大な艦船は、今年に製造が決まったドゴス・ギア級戦艦2番艦『ゼネラル・レビル』の予想される630mという巨体を除けば、地球連邦軍でも随一の巨大さだ。隣に―――とはいえ数キロほどの間隔を取って―――航行するロンバルディア級重巡洋艦の倍ほどもある、その馬鹿げたとすら思える白亜の巨躯に圧倒されていると、多目的ディスプレイにレーザー通信のコールを知らせるウィンドウが立ち上がった。
(接近中の貴官に告ぐ。こちらウォースパイト機動打撃群旗艦ウォースパイト。貴官の所
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