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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
37話
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分厚い文庫本を取り出すと、赤茶色の表紙に描かれたややぽっちゃり気味の純朴そうな男の顔がクレイを不思議そうに見つめていた。
 もう何週間だろう? 分厚い本は読んでも読んでも減る気配がない。その上哲学書というのは難解なものだ―――それを700ページもとなれば圧倒されてしまうものだ。クレイも多大に怖気づきながらも、その使い古された分厚い古本を手に取ると、ずっしりとした重量が右腕に伝わってくる。その重さは、その哲学者の思想の存在の重さなのかもしれない。
 さぁ今日も読もう。そうしてもっと前に進んでいこう―――。
 クレイ・ハイデガーは、嬉々として幾何学の精神と繊細の精神とはなんぞやと学び始めた。
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